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変身綺譚集成 (平凡社ライブラリー)

変身綺譚集成 (平凡社ライブラリー)

変身綺譚集成 (平凡社ライブラリー)

作家
谷崎潤一郎
東雅夫
出版社
平凡社
発売日
2018-07-10
ISBN
9784582768695
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変身綺譚集成 (平凡社ライブラリー) / 感想・レビュー

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ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

月あかりに照らされて湯に濡れた女はほう、とため息をついた。その紅い唇があまりにあかかったので、私は女があやかしだとしる。湯殿からしろいもやがけぶって山中のにおい。それがほんのりと頬にあたり、あたたかいのかそれともからだが冷えきっているほど冷たい夜なのかもはやあやふや。こんな私はあやかしに誑かされて滝壺に沈むのがよい。思わずこちらもほう、とため息をこぼす。つめたい私の死骸が花筏に浮き沈む姿を想像して私は永遠に夢幻をただよう。

2021/01/23

藤月はな(灯れ松明の火)

「アッシャア家の覆滅」は途中までしか翻訳していないし、「魚の李白」は佐藤春夫をディスっていて思わず、「谷崎、お前・・・」と思ったよ。一方で佐藤春夫の著作に序を著していたりするので人の面白さを感じます。「魔術師」は既読だが、欲に流されて約束を違える男に対し、それでも離れまいとする女の健気さが妖しい形で化現したかのような最後の場面は圧巻。そして「鶴唳」の美しくも壮絶な復讐劇は目に映えます。しかし、父ちゃん、お前、身勝手すぎるだろうが!

2018/11/04

やいっち

谷崎ワールドというと、どうしても『細雪』を筆頭に、『痴人の愛 』とか『卍 』とか『瘋癲老人日記』、『陰翳禮讚 』、『蓼喰ふ虫』、『春琴抄』といった作品群となる。  そうした印象(に留まるとは思わない)があるだけに、変身奇譚の作品群は面白くはあるが、必ずしも絶品とは感じなかった。まさに本書の中でも、折々…いやかなり臆面もなく語られ告白されているように、圧倒的に泉鏡花には敵わない、圧倒されているように思う。

2018/11/28

さゆき

谷崎の怪異ものを集めた選集。エッセイや評論も掲載されていてボリュームたっぷり。特に印象に残ったのは「鶴唳」。復讐の切なさと美しさにやられた。親子とも日本人でありながら支那言葉を使わねば父と会話ができないなんて、どれほど悔しかっただろう。「白狐の湯」の妖しく美しい世界観も好き。谷崎文学の「美」はえてして残酷だと思う。美しいから他者に対して残酷になれるのか、残酷性が美を作っているのか…。谷崎がたびたび絶賛している泉鏡花にも興味を持った。

2018/10/17

ふくしんづけ

書く時、読む時。夢を見ているのだと教わった。夢見る時の自分の姿を人間は知りようもない。何かに変わっているというその事実さえ。できれば知らずに済ませたいものである。だが筆を取る時、作家は自ら変身する。夜空の夢へと飛翔するため。読者を魅力し、変身せしめるため。その筆力の下、変身するのは我々だけでない。谷崎潤一郎の作品では、日本様式と異国情緒とが同居している。普通なら欧米らしい印象一色になるが、異国らしさはあくまで日本的なものに内包されている。そこに谷崎にしか出せない妖の国の空気がある。和製ゴシックの魂がある。

2020/06/14

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