幻想小説とは何か: 三島由紀夫怪異小品集 (906;906) (平凡社ライブラリー み 15-1)
幻想小説とは何か: 三島由紀夫怪異小品集 (906;906) (平凡社ライブラリー み 15-1) / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
今年で没後50年となり、何かと取り上げられる機会が多い三島由紀夫。そんな彼の芳しい文体で綴られる世界感は息を呑むほど、美しい。特に澁澤龍彦との書簡は二人の知の交歓に耽溺。また、評論は取り上げられた本を片っ端から読みたくなるので積読に悩んでいる人は要注意(笑)特に「遠野物語」の現世と冥界との境界が融解する象徴としての炭の指摘は何度、読んでも切れ味のいい。そして「仲間」での彷徨える吸血鬼譚の艶めかしさと言ったら!同性愛的な結びつきを匂わせる父親の言葉によって、濡らしたベッドがより一層、意味深に思えてならない。
2020/11/30
HANA
三島由紀夫の幻想的な部分を抜き出した一冊。アンソロジーピースとしてはこの手の本には必ず採られる「仲間」は既読であったが、その他の小説は全て初読。特に「卵」、こういう話も書いているのかと、今までとは別な一面を見せられた思い。三分の二ほどは評論対談等で、名高い「小説とは何か」を含むその内容は、幻想小説というよりは三島の小説観を表したものが多いように感じられる。鏡花や足穂、百鬼園先生が称揚されているのを見て、やはりこの世のものならぬ何かを掴もうとしてたような気がする。ただ澁澤関連は完全に編者の好みだろうけど。
2021/01/09
くさてる
三島由紀夫の怪奇幻想、というコンセプトのアンソロジーという着眼点は素晴らしいと思うのだけど、なぜそこに澁澤龍彦との書簡が必要なのか。思想的なバックグランドという意味なのかな。三島のエッセイは確かに面白いのだけど、このコンセプトなら短編小説のみにしたほうがまとまる印象でした。小説ももっといろいろあるのでは……。個人的に偏愛している「仲間」がセレクトされていたのは良かったです。
2020/11/25
名無し
作者と作品は切り離しても読めるとわかっていても、あの日の出来事に向かっているような記述に出くわしたり、またそのように読んでしまってはドキッとするのがなにかにつけ三島にはつきまとう。
2023/07/19
大森黃馨
三島由紀夫のあまり知られてはいない怪奇幻想文学の面から纏めたアンソロジーだがどうも他の三島作品よりも小粒に思えるやはりあの最後が強烈で読者たるわれもそれに引きずられてしまいその系列的作品に引き込まれてしまうのか でも三島氏もあの『家畜人ヤプー』を読んでしかも高く評価していたとは この著作を読んでいても正直な所中々受け入れられず同調出来ず如何に自分が文学的素養を持たない無教養者なのかと思い知らされる
2024/01/22
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