豊乳肥臀 (下)
豊乳肥臀 (下) / 感想・レビュー
白義
補章により清朝末から現代まで神話が繋がり円環を成し、近現代中国のありとあらゆることがぶちこまれた物語が完遂される。解説によると初期莫言の集大成的な大作らしく、事実今まで短編などで見た莫言のいろんな相貌が凝縮されているように感じた。幻想的リアリズムによる農民の哀史あり、おっぱいだらけの猥褻エロ話あり、一瞬で現れ消え去る謎の騎馬兵や亡霊たちありモダンな都市文学要素ありと、どこまでも楽しめる文学のフルコース。主人公金童のおっぱいへの執着、エロスは人類の原型的情欲を描いたものだろうか
2012/11/02
荒野の狼
下巻は第5章から断章までと、巻末に莫言による9ページの「高密県東北郷の聖書-日本の読者へ」と8ページの訳者あとがきを収録。莫言は「二十世紀の末ともなれば、良心と抱負を抱いた作家は、二度とある階級やある政党のラッパ手や狙撃手になるべきでなく、より高い立場からより遠くを見るべきだp377」と書いている。
2021/07/17
HIROMI S.
長い長い物語を読んでいた。日本軍の侵略時代から始まり、解放後の混乱、内戦、共産党の勝利、大躍進に文革、文革後著しい経済発展を遂げていく正に中国の現代史だ。狂言回しはオッパイ星人の金童。でも、この小説の真の主役は彼の母親であり、8人の姉たちであり、歴史に蹂躙され翻弄され続けた中国の女性たちなのだろう。
2019/04/12
きいち
心から愉しめた。内戦直後から現代まで、舞台は日本より落差が大きいので、物語も際立つ。バルガスリョサ好きには絶対おすすめ。最後二章の使い方も効果的だ。中上健次も紀伊物語でやれば異族が完結できたかも、なんて思ってしまった。
2011/12/30
hayaco
凄く良い。20世紀の中国がぎっしり詰まったお得感。作りものみたいな夢や欲や生活に染まった現代より、生々しい世界の作り話。出番は少ないが、玉女の美しさに救われた。
2012/11/03
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