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菊燈台 ホラー・ドラコニア少女小説集成

菊燈台 ホラー・ドラコニア少女小説集成

菊燈台 ホラー・ドラコニア少女小説集成

作家
澁澤龍彦
山口晃
出版社
平凡社
発売日
2003-11-26
ISBN
9784582831948
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菊燈台 ホラー・ドラコニア少女小説集成 / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

『うつろ舟』の中の1篇を独立させて挿絵を付し、新たに造本したものだが、こうしてあらためて取り出してみると、また新たな魅力がそこに立ち現われてくる。田中貢太郎の「宇賀の長者物語」に原話があるようなのだが、おそらくはそのほとんどが澁澤のオリジナルに近いものだと思われる。もっとも、若狭の人買いの伝承は説経「さんせう太夫」にも語られており、物語の中世的な背景はこのあたりにありそうだ。ただ、人間燈台のアイディアはサド風でありながらもヨーロッパ的な発想からは遠く、人魚伝説と相まってきわめて日本的な造形美を見せている。

2015/01/01

yn1951jp

美しい本です!お話も絵も少女(少年)のエロティックな美しさに満ちている。あとがき代わりの「少女コレクション序説」と合わせて、澁澤と山口の少女愛がふんだんに楽しめる。「うつろ舟」で読んだ時も印象に残った作品だが、さらにイメージを膨らませて味わえる贅沢な本となっている。「水」と「火」に象徴される少女愛物語だが、神話の時代から現代にいたるまで、フェロモンにあふれた少女(少年)は男たちにとって(女にとっても?)普遍的な愛である。川端康成の『眠れる美女』も少女愛の物語ですよね。

2014/10/26

藤月はな(灯れ松明の火)

伊勢神宮に関する逸話を澁澤龍彦風にアレンジした淫靡な話。美しい女と男を家具、または置物にしたいという欲求は江戸川乱歩の「黒蜥蜴」、「盲獣」でも顕著であるがこの本は絵という視覚的効果を存分に生かして読者を魅了しています。。文章に忠実に描きながらも歌舞伎、無残絵、春画などのタッチを多彩に使うことでアレンジを施した淡い色で描かれた陶酔の戯れにただただ、耽溺するのみでした。

2012/09/13

キキハル

美しい本です。文章・澁澤龍彦、挿絵・山口晃、ブックデザイン・鈴木成一。三位一体の美です。文章は既知のものですが、恥ずかしいことに山口晃という画家を存じ上げませんでした。こういう画をかかれる方なんですね。淫猥な文章に合わせた挿絵は、線の重なり、肌色の濃淡などそれは見事で、隅々まで舐めるように眼を凝らして鑑賞しました。これはやはり書物としての出来が素晴らしいといえます。電子図書でも情報は得られるでしょうが、本の手触りは分かりません。触れて撫でて、耽美な世界をたっぷりと堪能しました。家宝にしたいシリーズです。

2010/08/31

そのじつ

山椒大夫のような悪辣代官の手に落ちた美少年。記憶を失った彼が唯一覚えていたのは、ある女とのいきさつ。少年の数奇な運命やいかに。山口晃が絵をつけた美麗な一冊。その挿し絵が示したように、美少年の両性具有的あり方、それもまた「少女」である事が、あとがきとして採用された「少女コレクション序説」から理解される。この「少女コレクション」の定義が素晴らしい。彼にとっての「少女」とは何か、男が生来ぬぐいがたく抱く少女への思慕。澁澤美学のプリズムを通して見る世界の歪みに酔いつつ、橋本治の語り口のような明解さに快感を覚える。

2014/07/28

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