読むことは旅をすること: 私の20世紀読書紀行
読むことは旅をすること: 私の20世紀読書紀行 / 感想・レビュー
踊る猫
実によくこの著者は動いている。様々な場所に赴き、そこにおいて事物を観察し、手垢の付いた言葉に頼らず自分の実感を信じて何かを捉えようとしている、という印象を抱く。だからこそアウシュヴィッツやベンヤミンを語る言葉が「浮足立つ」ことはなく、こちらを優しく包み込むように響くのだろう。分厚い本なので読むのにそれなりに骨が折れたが、読んでよかったと思った。まだ読めていない作家(フラナリー・オコナーなど)への足がかりになるし、あるいはベンヤミンを読み返し自分が読み飛ばしていたものを拾いたいとも思う。実に沁みる1冊と思う
2022/09/07
地中海
紀行文。文章が綺麗だと思ったら、著者は詩人だった。読んでいくうちに、影響を受けた文学者や詩人たち(海外)のお墓や縁の地を巡礼する旅をしていることがわかる。著者は1939生まれ。憧れた人たちの足跡を追うと、自然に戦争の爪跡を辿る旅になる。レニングラードでアフマートワのお墓を探す章が好き。後、スペイン市民戦争とスペインの風土をベースに、パトリオティズムについて説明しているのも印象的。
2019/04/15
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