ともえ
ともえ / 感想・レビュー
佐々陽太朗(K.Tsubota)
近江を舞台にした芭蕉と智月尼の恋。老いたりといえどなお色香を残す二人の躰のつながりのない恋愛に興味を覚えた。芭蕉と会うだけで、ただ話をするだけで心を浮き立たせる智月尼の純真を描いて妙。木曽義仲と巴御前、芭蕉と智月尼の二つの物語が時間を越えて交錯するのだが、そのあたりの絡まり合いがやや薄く物足りなさを感じないでもない。同じく義仲と巴の物語をベースにした時空を越えたミステリー小説として浅倉卓弥氏の『きみの名残を』があるが、物語のおもしろみはそちらに軍配があがる。しかし、なんともいえぬ味わいのある小説であった。
2013/12/28
kiho
時代を超えてシンクロする歴史的人物の恋物語⭐次第に巴御前の方に心惹かれていき、もっとエピソードを知りたくなった⭐芭蕉の晩年の生き様も歴史を知る上で興味深かったです♪
2015/08/22
007
★★★☆☆ 芭蕉と近江の智月尼との一風変わった交流。晩年の芭蕉はすごく可愛かった(失礼)。年の功というか気の利いた明るい会話がとても良かった。色恋とはまた違う初老の男女の交流に好感が持てた。芭蕉の句は有名なものをいくつか知っている程度だったけれど、ぐっと身近になった。「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」はどのような思いで詠んだ辞世の句だろうか。
2013/10/18
るぅく
巴御前と義仲、智月尼と芭蕉。時を交互に語られていきます。巴の話の時はフォントも変わり、ページの下に影?が印刷されて、視覚的にもわかりやすい。芭蕉と智月尼の関係を知らなかったので、お勉強になったのでした。でも「ともえ」というタイトルで想像していたので、芭蕉と智さんのお話がメインなので、期待していたものとずれたように感じ、ちょっと物足りない感じがしてしまいました。
2013/09/26
優希
少し変わった純愛を描いた時代小説だと思います。最初は巴御前の話だと思っていましたが、蓋を開けると松尾芭蕉が出てきてちょっと戸惑いました。近江を舞台に智月尼と芭蕉の恋愛に胸を打たれます。老いたからこそ醸し出せる色香、話をするだけで満ち足りる心。本当に純真で染み入りますね。そこに時代を超えるように交錯する巴御前と木曽義仲の恋も描かれていて、その交錯が魂の邂逅につながるのが興味深いところです。巴御前も木曽義仲の恋もまた純粋です。魂が呼び合っているようで、最後の方は幻想的でした。シンクロあってこその小説でしょう。
2014/01/14
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