仰向けの言葉
仰向けの言葉 / 感想・レビュー
erierif
美術家に関するエッセイ集。『その姿の消し方』で一葉の写真から話が進んでいくように、様々な作品を共に並んで鑑賞し豊かな知識の中へ導かれるように読んだ。美しい世界を磨きこまれた言葉でつないだようなエッセイ集だった。全ての章のタイトルからもう美しく練り上げられている。 「北へ、あるいは、たどり着けないイマージュへー菊池怜司」「三十七度七分と三十八度四分のあいだでーエルヴェ・ギベール」「深海魚の瞳ーサイ・トゥオンブリー」「なにが聞こえてくるかは、だれにもわからないー松本竣介」「樹木の高さの想いー棚田康司」
2018/07/14
geromichi
最後の「スターキングはもう作られていませんと彼は言ったーあとがきに代えて」が素晴らしかった。この本は、書題と装丁、紙質、その大きさや持ったときにずっしりくる重みも良いです。
2020/04/17
hirayama46
堀江敏幸による美術評論集。こういうことを言っては元も子もないのですが、やはり美術というのはダイレクトに対象に触れなくてはわからない部分があまりにも多いのだなあ、と感じました。そういう意味で作品について論じたものよりも、作者の伝記の要素が強い文章のほうが楽しく読むことが出来ました。
2016/02/22
rien
縦横無尽に関係の糸を紡ぎあげていく手つきがあいかわらずとても繊細で見事です。あとがきに代えて記された文章が、ここまで織りあげてきた言葉の、イマージュの、絵のレース模様に不思議な縁の悲色を添えています。絵画や写真について語っているからなのか、故人の作品だからなのか、これまで以上に死へと漸近しているように感じました。
2015/06/15
gorgeanalogue
知らない画家・写真家のものは読みづらいこともあるし、ときに大仰な言葉が出てくるが、まあまあの読後感。ドアノー、モランディ、巻末のエッセイ「スターキングはもう作られていませんと彼は言った」。晩年のペロスがマジックメモを使っていたらしいことを知って驚愕。図書館本
2017/01/20
感想・レビューをもっと見る