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旅ごころはリュートに乗って: 歌がみちびく中世巡礼

旅ごころはリュートに乗って: 歌がみちびく中世巡礼

旅ごころはリュートに乗って: 歌がみちびく中世巡礼

作家
星野博美
出版社
平凡社
発売日
2020-09-28
ISBN
9784582838459
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旅ごころはリュートに乗って: 歌がみちびく中世巡礼 / 感想・レビュー

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りー

「みんな彗星を見ていた」がとても良かったので、続きとも言えるこの本を手に取った。前作でリュートを弾き始めた著者は自分の感覚に合う曲を探すうち、スペインの古楽にたどり着く。耳コピしてタブラチュアを書く執着に畏れ入る。まずはカタルーニャ地方の修道院に伝わる「モンセラートの朱い本」。そして13世紀の王アルフォンソ十世が編纂した「聖母マリアのカンティガ」。カンティガの歌詞からイコノクラスム、コンスタンティノープル包囲戦、ユダヤ人の迫害に迫る。古楽に隠された中世の息づかいを感じる、少しほろ苦い読書体験となった。

2022/05/15

あーびん

前作を読むまではリュートなんてカラヴァッジョ『リュート弾き』のイメージぐらいだったし、どんな音色なのかも興味がなかった。続編となる今作でもリュートに取りつかれた著者がカンティガにハマり没頭していく様子とともに、中世キリスト教の歴史の深みへどんどん誘われていく。その熱狂的ともいえる探究心からもたらされる思考の旅は現代の長崎で終わるのだが、以前自分が観光で訪れた「殉教の丘」が出てきたので風景が思い出されて感慨深かった。最近読んだ『消された信仰』『美術は宗教を超えるか』と自分の中でつながる部分があった。

2021/07/30

たま

『みんな彗星を見ていた』の中に著者がリュートを習いはじめるエピソードがあるのだが、この本はその後日譚。天正遣欧使節らが帰国した際秀吉の前で演奏したと言われる「千々の悲しみ」に始まり、『モンセラートの朱い本』、『聖母マリアのカンティガ』(13世紀)へと興味が歴史を遡っていく。言及されている楽曲は中世の心性を素朴に歌っており面白いのだが、「歌がみちびく中世巡礼」という副題の割には紀行の部分が少なく残念。最後の数章は2019年の教皇来日と日本人の殉教、その列聖、列福にあてられている。

2020/12/16

みのくま

リュートから中世欧州に飛び、最終的には現代長崎に着地するという、著者の思考・興味の変遷を「巡礼」させて頂いた様な素晴らしい1冊だった。「歴史を知る」とは、知識を溜め込む事ではなく、感じ取る事なんだと本書を通して強く教えられた。その為には「旅人」として、気の赴くままほっつき歩くのだ。この自由さを見習いたい。他方、「みんな彗星を見ていた」の続編としても面白く読める。宣教師とキリシタンの実像や、そのルーツであるイベリア半島の問題。レコンキスタと十字軍、聖母信仰と反ユダヤ主義。歴史の暗部をリュートが教えてくれた。

2021/05/09

まこ

前作は実際にキリスト教ゆかりの地に行って思いを馳せたが、今回はリュートを弾くことでその場に居ないながらも思いを馳せる。自分がその場に行ってみたらどんな反応するんだろう。時折紹介してくれるリュートやキリスト教の知識も相まって広がりを見せる。

2021/10/27

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