冥途
冥途 / 感想・レビュー
aquamarine
内田百閒の本は初めて読んだかもしれません。どれもが夢と現の境目にいるような、うっかり読み飛ばせば何を読んだの?と思うような不思議な、あるいは理不尽な世界。でもこの雰囲気、なぜか澄んでいてとても好きです。金井田英津子さんのたっぷりの版画がまたとても素敵で、読んでいる世界をリアルに目の前に現して、本当にどっぷり浸かれます。選べないほどどれも印象的だったけれど、あえて選ぶとしたら「件」と「冥途」かな。三上延さんの「百鬼園事件帖」をきっかけに手に取りましたが、出会えてよかった一冊でした。
2023/11/01
ケイト
逢魔が時に現れる不穏な雰囲気。土手の向こうとこちら側、黄泉の国との境界線だろうか?話の間に挿し込まれた版画がとても良くて、不思議な世界観を醸し出していた。特に「件」の予言を待ち侘びて回りに集まる人達。最後挿絵のインパクトに吹きだした。
2023/11/04
空猫
『花火』『尽頭子』『烏』『件』『柳藻』『冥途』の6作品を金井田英津子サンの画と共に魅せる。内田百間の悪夢、白昼夢、のような世界にベストマッチし、より奇っ怪だった。
2021/10/28
Y2K☮
かつてパロル舎&長崎出版から出ていたものの新装復刊らしい(長崎出版版の「夢十夜」を持っている。また読もう)。内田百閒は夏目漱石の門下だけど「夢十夜」とよく似た不気味で雲をつかむような筋は意図的なものだろうか。版画の色の変化が鮮やかで予測の斜め上を翔る。二度目は文章を見ず、挿絵だけを追いかけてストーリーを想像してみたら面白いかもしれない。未収録の話も気になる。いつかNHKが15分の全15回シリーズとかでドラマ化しそうな予感がする(まだなっていないのだろうか?)。表題作のあの一言がいつまでも頭に残って離れぬ。
2023/11/22
tosca
内田百閒の「花火」「尽頭子」「烏」「件」「柳藻」「冥土」に、版画家の金井田英津子さんの絵が付いた文学画本。自分以外の誰もいない道をこのまま歩いて行ったら、いつの間にか知らない世界に足を踏み入れてしまうかもしれない…みたいな心細い感じをこんなピッタリと絵にできるものだろうか。表紙の絵だけで、この本の妖しさが予感できる。持っている事が嬉しくなる幻想文学画本。全作品が素晴らしいが「件」は好き過ぎる。絵と文章の物凄い合体だ。
2022/01/13
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