KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

乱れる海よ

乱れる海よ

乱れる海よ

作家
小手鞠るい
出版社
平凡社
発売日
2022-10-21
ISBN
9784582839104
amazonで購入する Kindle版を購入する

乱れる海よ / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

いつでも母さん

それは神が与えた仕事だったのだろうかー今、この作品(ノンフィクションとフィクションの間のような)を作者が綴る違和感を拭えない。事実は事実だが、検証するには本人がいない。あとがきを読んで当時の校長の言葉は高校生の胸にどう届いたのだろう。危うさを感じるのは私だけだろうか?『千尋の志は残った。千尋の死は残った。千尋の詩は残った。』それを私たちがどう受け取るかだな‥

2022/11/15

hiace9000

50年前の空港乱射テロが世界に与えた衝撃…。その後の世界秩序を塗り替え、さらに、かの9.11の遠因ともなったという負の事実。その実行犯である日本の左翼テロリスト奥平剛士をモデルに描く、小説のようなノンフィクション、ノンフィクションのような小説が本作。崇高で純粋な正義感と使命感が、やがて過激な革命精神へと昇華し、テロという暴力装置へと歪み闇落ちした過程を、日本人ライター中嶋果林に名を借りた作者自身が取り憑かれたような筆で描く。テロリストの美化や英雄視は避けたいが千尋の見た「あの海」は確かにあったと信じたい。

2023/02/16

モルク

1972年5月PELPが計画し赤軍派幹部奥平剛士ら3名が実行犯のテルアビブ空港無差別乱射事件、26名が亡くなったこの事件をモチーフとしている。アメリカ在住の日本人ジャーナリスト中嶋が取材し唯一の生き残り犯岡本公三をモデルとした岡部洋三にもインタビューし作品を作り上げる。フィクションとノンフィクションの間であるそうだが中心人物は奥平であろう千尋。平等という崇高な思想から始まったはずが…。しかし千尋が少し美化されているのではないかと感じる所もある。→

2022/12/19

そら

50年前のイスラエル テルアビブ空港乱射事件。犯人は遠く離れた日本から革命を起こすためにやって来た3人の日本人青年だった。当時、学生運動が盛んで、連合赤軍が起こしたあさま山荘事件は私が産まれた年に起こった。事件の理由が全くわからなかったが、この物語を読み、世の中に強い不満を持ち、改革することを使命と思い込み、究極の行動をしたことだけはわかった。だが、主犯の男性が作者の高校の卒業生だという接点で、この物語を発表する意図がわからなかったし、誰かの命を奪ってまでやるべきことだとは到底思えなかった。とても悲しい。

2022/11/22

fwhd8325

痺れるような物語でした。時折身体が震えるような感覚を覚えました。赤軍派というと内部リンチ、粛正など過激な印象が強い一方で、理想を追求したロマンチシズムも感じます。あとがきにあるように、彼らの目指していたものは間違っていなかったと思います。そして、彼らが辿った方法でしか、その夢を実現することはできなかったのでしょう。小手鞠さんは最高の距離感で、この物語を描いていると感じます。フィクションでもノンフィクションでもない、この距離感は、ある意味タブーとも言えるこのテーマを最高の形で実現させてと言って良いでしょう。

2023/01/18

感想・レビューをもっと見る