宮崎駿の「深み」へ (平凡社新書 243)
宮崎駿の「深み」へ (平凡社新書 243) / 感想・レビュー
ホークス
宮崎アニメを「深読み」する試み。ちょっと理屈っぽいけど興味深い。「となりのトトロ」で、地元のカンタ達がトトロを知らないのは何故か?絵本や父親から得た「物語」 が、メイ達にトトロのイメージを与え、出会いを可能にしたから。成る程これは面白いと思った。信じる者や心から願う者にだけ奇跡が訪れるという、寓話的パターンに感じる説得力は、これかもしれない。「千と千尋」に散りばめられた「次第に失われゆく昔の破片」のイメージ(看板の”め”の字、”ハク”という名)は、廃墟の懐かしさや危険性の正体の様だけど、理解仕切れず。
2016/08/20
佐島楓
主に「風の谷のナウシカ」から「千と千尋の神隠し」までの評論。それは少しうがちすぎなのでは、と思わぬところもなくはなかったが、宮崎駿作品が主張し続けているものが一貫しているというあたりや、民俗学に根ざしているという意見に関してはそうだろうな、と思ったり思わなかったり。評論は、書き手の数、また受け手の数だけあってよいと思う。
2013/08/05
はづきち
児童文学の研究者から見た宮崎駿のジブリ映画について論じています。ナウシカの腐海から始まり、ラピュタの垂直方向の動き、カンタたちはなぜトトロが見えなかったのか、魔女の宅急便の13歳という数字について、などなど、今まで考えなかったことを筆者なりに分析しています。面白かったのは、もののけ姫に出てくる獣と十二支の関係について。あぁ、なるほどと思いました。
2016/06/04
なつを
映画の論評は人それぞれだと思っているので、良し悪しについてはあまり考えていないが、作品の理解についてはこういう見方もあるのか、と視点は1つ広がったことは確かである。個人的には第5章の「形容詞の不思議」が印象的だった。「心」だと目には見えないが、「燃える心」「灰色の心」と形容詞を使うと、目に見えるように感じるという内容である。もとは、魔法について説明するための一文であったが、日常生活でも実際にあることだったので、覚えておこうと思う。
2013/11/26
a_ma_ri_a_ma_ri
著者が有機体というものが、目に見えないくらい小さいが「死」→「腐」→「再生」をするものであり、それを目に見える形に表したのが「腐海」である、というところからスタートした一冊(「くさる」という福音館書店の絵本を思い出す)。サツキがトトロに会えたのはその前に父親から語られた「ここには神様がいる」という物語があるからこそ。森の神がいなければ、その動物はただの「ケモノ」だという台詞のある「もののけ姫」。鬼ごっこをする子どもたちは、あなたが鬼だ、という言葉の魔法を使い本当に大きな権力を持つ鬼がそこに生まれている。
2023/05/28
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