奇想科学の冒険: 近代日本を騒がせた夢想家たち (平凡社新書 379)
奇想科学の冒険: 近代日本を騒がせた夢想家たち (平凡社新書 379) / 感想・レビュー
猫丸
幕末〜明治期に活躍した、バイタリティあふれる人々の記録を掘り返す。歴史の中に埋もれた偉人がいかに多いかを思い知らされる。彼らに比肩し得る特異な人物は今でもいるだろう。荒俣宏や赤瀬川原平などの位置がちょうどよろしい。例えば坂本龍一が「正史」に刻まれるいっぽう平沢進は傍流で異彩を放つみたいな。ストレートど真ん中じゃないほうにシンパシーを感じるのは、平準化されたものには無い余裕とかトゲトゲしさを求めてのこと。一言でいえば、効率の悪いものが好きなんだ。しかもそれが効率を求めての結果であったりするからなお楽しい。
2021/03/08
ハチアカデミー
近代という時代に活躍したが故に、現代ではトンデモ科学として見なされてしまった9人の夢想家を紹介する一冊。地動説に反論し続けた佐田介石、丘浅次郎、村井弦斎、学天測という和製ロボット開発で有名な西村真琴などなど、魅力的な面々が揃う。『渋江抽斎』子息渋江保、『紋章』のモデル長山正太郎も登場。「奇想科学」「擬似科学」と言われうるもののがどの程度受け入れられていたのかがわかる。そして、それを揶揄するのではなく、それぞれがどのような思いで「科学」を志したのかまで丁寧に描いている点が◎近代の社会史とも読める一冊である。
2014/12/08
わんにゃん
佐田介石の『視実等象儀記』、足穂好きそう。紹介されている人物について、彼らは奇人とは言ってもそこまでおかしな人とは私は感じなかった。皆一生懸命で、力を注ぐところが少しだけズレていただけだという印象。
2021/08/24
編集兼発行人
我国の近代において本筋とは異なる思考でもって着想した人々に関する評伝。名の有無に関わらず選択された十名による宇宙進化人権発明精神ロボット等々といった自然人文社会を網羅する主題への取組と其の態度とについて主人公や時代の奇妙なエピソードや著者の感想を交えながら手短かつ平易に紹介するという構成。当人の主観による科学性や其れを具現化する際の表現に対する是非の判断は脇に置いて妙案とは突拍子も無い時空間から産出されるものと認識していれば熱を帯びた奇想が孕むブレイクスルーの可能性を垣間見る実例として参照できるところ大。
2014/10/30
Super mono color
文章は内容が頻繁に逸れて本筋を見失いやすい。史実、引用、作者の推測などがぐちゃぐちゃに入り混じってて、どの視点から事実を俯瞰しているのかがわかりづらい上、視野狭窄を起こしているかのような短絡的な起承転結がかなり気になる。
2017/05/20
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