白川静 漢字の世界観 (平凡社新書)
白川静 漢字の世界観 (平凡社新書) / 感想・レビュー
KAZOO
博覧強記の松岡正剛さんが、これまた漢字の世界では並ぶものない白川先生の漢字の世界についてかかれたもので、その足跡を漢字という観点から記されています。松岡さんとしてはページが足りなかったような感じですが、私たちにはこれくらいが読みやすい気がします。私も10年以上前にかなり白川さんの著作を読みましたが、一人でこのような業績を成し遂げたとはとても信じられませんでした。白川世界の入門書としては先生以外が書かれたものとしてはこの本はいい本だと感じました。
2015/08/10
mitei
白川静って人をあまり知らなかったけど漢字の由来をそこまで解明できるってすごいことだと思った。
2012/05/10
しぃ
漢字を読みとき古代世界を開示した、白川静さんの業績をまとめた本。「漢字は借り物ではなく、音訓を用いた時点で国字になった」からこそ漢字をもっと理解しなくてはならない。当用漢字はまさに用いるべきものではないとの指摘が刺さりました。千年かけて漢字を理解して、そこから300年しか経ってないところで戦争によってそのほとんどを捨てられた。でも現代において記号としての文字を疑問に思うことなく使用している私たち。あの敗戦で失ったものは戦争を知らない私が想像するより果てしないものだったのかな。国語の原点を学んだ気がします。
2014/02/25
ドナルド@灯れ松明の火
漢字の歴史・由来・意味は古代中国の亀甲文等から祈祷・占いが源となるという白川氏の漢字観を松岡正剛氏が熱く紹介している。成程と感じたところも多数あった。漢字の元を生んだ中国ではこのような研究はしていないようで崩した中国語がまかり通っている。漢字は今や日本の言葉になっていると感じた。
2016/05/28
ひよピパパ
白川静の人と学問を知る上で道しるべとなる書。白川静といえば漢字学・文字学にばかり目がいきがちだが、実はその原点には同郷の歌人・橘曙覧の『万葉』との結びつきがあって、『万葉集』と『詩経』の関連性(それは「興」(予祝・予占)という発想において共通すると主張される。)を追究する過程で、『詩経』および漢字・金文研究に没頭していくこととなった事情がよくわかった。「巫」の存在と働き、そして「神」との関わりを強く意識した上で、古代社会と文字の持つ意味を解明していくその研究スタイルをよく教えてくれる。
2020/05/09
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