きのこ文学大全 (平凡社新書 447)
きのこ文学大全 (平凡社新書 447) / 感想・レビュー
Tonex
きのこが出てくる小説・漫画・音楽などを紹介した事典風読み物。索引を見ながら興味のある部分のみ拾い読み。▼村上春樹の『海辺のカフカ』や『ノルウェイの森』にはキノコとりの話が出てくるが、具体的なきのこ描写がない。きのこそのものに関心がないことから、著者は「村上春樹はきのこ文学者に非ず」と結論づけるが、冒頭の「きのこ文学宣言」を読む限り、村上春樹はきのこ文学者といってよいと思う。なぜなら、村上春樹の作品は、胞子を散布し、見えない地下に菌糸を広げ、生と死を媒介し、深刻な中毒症状をもたらすこともあるから。
2016/03/23
帽子を編みます
これはすごかった!きのこ文学が、これほど多岐に渡っているとは、幻想、SF 、ファンタジー、純文学、官能、ミステリー、俳句、短歌、詩歌…。これだけのものを見つけ整理する作者の目利きぶりに感嘆する、「きのこ目」を文学にも発揮できるとは!私も、かつては、山に入りきのこを探した身、何もなかったところが、しばし待つと目がきのこに反応するようになるのだ。きのこの形・色が背景から浮き上がってくるあの状態→きのこ目である。手元に置き、きのこ文学探検の友としたい本であった。あれ、文体がいつもと違う、菌糸が脳の乗っ取りを…。
2020/08/01
六波羅
古今東西のきのこ文学、マンガ、音楽等を紹介した少し変わった本。飯沢耕太郎氏が有名な写真評論家なのは知ってたが、こんなマニアックな事もやっていたんだ。読んでみたくなった作品若しくは再読したくなった日本作品は、加賀乙彦「くさびら譚」松浦寿輝「花腐し」夢野久作「きのこ会議」中島らも「アマニタ・パンセリナ」つげ義春「初茸がり」海外作品は割愛するがロシア人の、きのこ愛は別格だ。僕の住んでる田舎にも秋になると、きのこの話しかしない、おっさんが多数湧いてきて辟易する時がある。僕はまだきのこの胞子に侵されてないのだろう。
2014/12/29
ndj.
な ん だ こ れ は、とあっけにとられるまさにきのこ文学「大全」。文学作品を読んでいてきのこの描写に出会ってもよほど印象的な使い方をされているのでなければ気にもとめないのが普通だろう。ぱっと思い浮かんだのはP・K・ディックの『ティモシー・アーチャーの転生』くらいなものだが古典から狂言、果ては筋肉少女帯までよくぞまあこれだけきのこの描写を集めたものだと恐れ入る。これだけ集められれば「文学はきのこである、あるいはきのこは文学である」、というマニフェストもあながちはったりとも思えなくなってくる不思議。
2016/07/11
unknown
この先生きのこるための1冊であり、この先生きのこ好き過ぎだろうと痛感する1冊。古今東西のキノコにまつわる作品を網羅。筋肉少女帯「キノコパワー」「マタンゴ」も取り上げられている。
2011/06/12
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