『罪と罰』ノート (平凡社新書 458)
『罪と罰』ノート (平凡社新書 458) / 感想・レビュー
長谷川透
著者が訳した光文社古典新訳文庫『罪と罰』の解説をまとめ直した上で、さらに解釈(悪く言えば空想)を発展させたのが本書である。いやいやそれはちょっと飛躍し過ぎた空想でしょう、と突っ込みたくなる個所が幾らかあるが、当時のロシアの社会、治安、法制度などが上手く纏められており、(既に江川卓によって謎ときされているが)登場人物の名前の仕掛け(そして空想)も面白い。『罪と罰』のガイドブックとしてはまずまず役割を果たしていると言えるが、このような本に頼らずにまずは自分なりに『罪と罰』の世界を歩いた方が絶対いいと思う。
2013/01/25
fseigojp
死の家の記録と、罪と罰が一番わかりやすい ただラスコーが結局悔い改めていないように感じるのは私だけ?
2015/08/07
そんれい
『罪と罰』の背景となる当時のロシアの情勢や聖書のエピソード等を通じて、人間存在の根源に係わるメッセージを解釈するもの。ドストエフスキーの凄さを改めて思い知らされる。隠されたメッセージの存在を知ったから、『罪と罰』を再読しなくては✨
2020/07/05
ホンダ
ドストエフスキー作品の新訳で知られるロシア文学者・亀山氏による「罪と罰」研究書。当時の時代背景やドストエフスキー自身に起きた出来事など、様々な角度から作品を読み解いていく。本書によれば人物名や日付・金額などの数字に至るまで、ドストエフスキーらしく作品のあらゆる箇所に隠されたメッセージが仕込まれているようで、再読時にはまた違った感想を持つかもしれない。当時流行した社会思想を論じた部分など中にはやや退屈な箇所もあったものの、作品を読み進めていくうちに「罪と罰」読後の感動が甦ってきて読了後はそれなりに満足した。
2020/01/08
またの名
「主人公ラスコーリニコフの名前の頭文字PPPを逆さにすると悪魔の数字666が……」という数秘術風の話にどこまで真剣に付き合うべきか、迷う。しかしドスト解釈で聖書的数字は強調されることが多く、作品でよく登場する革命思想っぽいやつを単に社会主義と名付けて終わらずとりわけフーリエ主義の影響を指摘するなど、基本的な知識を出来る限り載せようとの配慮の可能性が濃厚。一人称によって描かれた草稿段階のヴィスバーデン版で記述されるリザヴェータの裏設定が編集側からのNGで削除されたにも関わらず内容を知ると、かなり印象が変化。
2018/06/03
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