新書513友愛革命は可能か (平凡社新書 513)
新書513友愛革命は可能か (平凡社新書 513) / 感想・レビュー
にゃん吉
民主党政権が誕生し、鳩山首相が友愛政治の所信を表明した頃に、公共哲学を専門とする著者が記した一冊です。前半は、ギリシャ・ローマにまで遡った友愛思想の解説、クーデンホーフ・カレルギーの思想と鳩山家への影響、賀川豊彦の思想の解説に割かれています。後半は、著者が考える友愛政治、友愛革命の概要や、その担い手としての鳩山政権への希望や期待が記され、政治的パンフレットの感も覚える熱量があります。友愛の思想の一端に触れられて、興味深かったのですが、本書出版から10年強という時間の経過への感慨も深いものがありました。
2022/08/30
Mitsuhiro Uji
いろいろ騒動を巻き起こしますが、私はなぜか鳩山由紀夫さんが好きです。それは、彼が「友愛」という政治思想を本気で信じているから。社会はつねに「自由」(右派)と「平等」(左派)のジレンマに悩まされていますが、その二つの価値をつなぐ存在が「友愛」です。だからフランス革命でもスローガンとして「自由」「平等」と同時に「博愛(友愛)」という価値観が要請されました。宇宙人の夢想かもしれませんが、それでも「友愛革命」という理想に魅せられます。
2011/01/15
プリン
鳩山首相の信条である「友愛」を政治キーワードとして公共哲学的に敷衍して論じたのが本書です。鳩山首相(内閣)の政策や発言を全て肯定的に捉えていく姿勢があまりにも前面に出過ぎていて、思わず引いてしまいました。クーデンホーフ=カレルギーと賀川豊彦の思想が紹介されていた部分に関しては面白く読みました。
2010/04/09
マウンテンゴリラ
右派と左派、あるいはタカ派とハト派、あらゆる思想を敢えてどちらかに分類する必要はないが、両者の意見は常に対立し、容易には融合できないような気がする。どちらかといえば左派的であり、ましてや友愛の精神を説く本書でさえ、右派的と見られる、現政権の首相(の過去)に対しては対立的な立場をとらざるを得ない。そこに友愛革命の真の困難さ、矛盾を感じずにはおれない。友愛という理念の崇高さはもちろん理解できるが、鳩山元首相の失敗にも示されるように、現実社会に対する誠実な見方という意味においては、右派の意見に理があると感じた。
2013/02/01
感想・レビューをもっと見る