思想家の自伝を読む (平凡社新書)
思想家の自伝を読む (平凡社新書) / 感想・レビュー
KAZOO
11人の思想家の自伝を、著者の読書遍歴ということで紹介してくれています。大学の講義で「自伝を読む」を行ったことがこの本のきっかけになっているようです。私には少し異なる分野の思想家が多く結構難しい感じがしました。日本人もきだみのる、大杉栄、林達夫、谷川雁の4人を取り上げていますが、せいぜい林達夫くらいが私には合っている気がします。最後に文献を紹介してくれていますがこの中から少し読もうという気になるものがありました。
2015/12/06
踊る猫
読み返す。自伝とはその定義上人の人生のまとめを集成したものであり、別の言い方で言えば膨大な「自分語り」ということになろう。なら、この本は一見すると上野がその豊富な読書量をもとに(いい意味でも悪い意味でも「これ見よがし」「挑発的」に)書き下ろしたブックガイドのようでありつつも、その深奥にあるのは「そのようにして語らされてしまう『自分』とは何か」「そのように『語らせる』のは誰か(何か)」を問うきわめて原初的な批評意識なのだろう。ぼくもまた、こうして読書の感想を書きなぐる。だが、その「語り」は誰に貢献するのか?
2024/04/28
踊る猫
上野俊哉の書いたものを読むといつも元気をもらっているように思う。この本も例外ではない。「反自分探し」のための書物として書かれたこの本を読むことで、上野の暴力的な(とはいえデリカシーに欠けておらず、フェミニズムも視野に入れて自己批判的に論じているところは流石と思う)、それでいて理知的なテクストに触れることで紛れもない私自身が他者と出会い、他者の言葉によって相対化されナルシシズムの呪縛から楽になるからなのだろう。そして、この本では上野自身の修行時代/青春時代の思い出も開陳される。実に親しみやすいクールな一冊だ
2022/02/19
壱萬参仟縁
自己を語る思想家は、他人の思想を洞察して思想は打ち立てたが、自分自身をどう言説できるのか。書き出しに著者は興味をもっていることがわかる。これは、どんな文章でも第一印象が悪いと、読む気も失せるというものだから。ミシェル・レリスという人は自慰行為のことを赤裸々に描いたようだ(163頁)。思想家の人間像が解明される自伝というものは、その思想の本質はどこから生まれたか、を辿る手段ともいえる。E.サイードは白血病の治療もしていたとは知らなかった。巻末の文献案内が充実しており、読者の利便性は高い。
2013/05/23
テキィ
わりと等身大の視点で好感
2010/11/17
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