崩壊する介護現場 (ベスト新書)
崩壊する介護現場 (ベスト新書) / 感想・レビュー
文庫フリーク@灯れ松明の火
「介護のような地域密着型の事業は大きな資本にぶらさがるより、能力や才能のある個人や零細が、それぞれ資本を出して自分のこだわりのある地域で、理想を求めて工夫をしているという形が絶対にいい」最も心に残ったのは上記の言葉。著者が企画物AV女優のルポルタージュで著名な方と知らなかったため、第二章「売春する介護職員」には、これはごく一部・都市部でしか成立しない(私の居るような農村地帯でできる訳が無い)と眉をひそめたのですが・・。実際に介護施設を運営されている、もう一つの眼から見た介護業界については頷ける点が多い→
2013/12/12
みゃーこ
馬鹿げた個人的見解と偏見に満ちた描写が前半繰りだされていたが、著者の遍歴を知った上で不思議でもなくなった。しかし第4章介護保険制度を軸に「福祉」を「ビジネス」に、「措置」を「契約」に置き換えたことにより生じる現在の介護現場の歪みと崩壊を客観的な視点で社会の矛盾に迫る筆致は非常に良かった。数字と統計で見ると2025年問題の危機感と制度の誤りに改めて気付かされた。介護業界の崩壊を現場から制度まで個人と社会の「貧困」という社会問題として考えさせられた。
2013/12/07
キムチ
実務を知った上で介護業界に関するベストの本かなと感じた。なまじっか、学者・権威筋が記したテキストよりもはるかに良書。社会底辺をフロートする女性をルポする仕事から介護事業所を立ち上げ、サイコパス(筆者が指摘する)類の人間に振り回され、事業所を閉じた経験から執筆している。薄い新書だし、メリハリのきいた文章とリアルな描写で一気読みさせる。 ただ「崩壊する」と銘打っているがそもそも介護業界は「成立していない」・・なし崩しで家政婦業界と家庭介護、その上層を看護など医療職で仕切っているという形で推移して行っている。
2014/01/15
さらば火野正平・寺
介護職必読の書。他業種の方にも読んでほしい。著者はAV業界や性風俗に纏わるノンフィクションで名を馳せた人だが、介護の事業所を運営しているとは知らなかった。介護職の問題点を低賃金等の労働条件以上に、人材の問題であると喝破した本である。現在介護で働く私にも思い当たる数々の指摘に言葉を失う思いだった。そして何故そうなるのかという適切な分析。従事しながらも不勉強な私には啓蒙される事、大であった。良書。
2013/09/30
壱萬参仟縁
3K(きつい、給料が安い、汚い)と言われる介護の職場(表紙折返し)。認知症介護には向き不向きがある。高い倫理観と我慢強さ(20頁)。本気で怒ってしまう人はダメのようだ。わたしは短気だからいかんぜよ。現場の問題は、慢性的人材不足、高い離職率、低賃金、虐待、倫理欠如(モラルハザード)、専門性欠如、質の低下、過剰報道、虐待防止法の過剰解釈、2025年問題(団塊世代後期高齢者に)など、ネガのカオス(31頁)。言葉もない。
2014/09/25
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