エマニュエル・トッドで読み解く世界史の深層 (ベスト新書)
エマニュエル・トッドで読み解く世界史の深層 (ベスト新書) / 感想・レビュー
5 よういち
ソ連の崩壊やリーマン・ショック、イギリスのEU離脱、トランプ政権の樹立等の世界の出来事を、エマニュエル・トッドという学者が予見したとして話題になったらしい。彼の専門は家族人類学。その人類学の中で彼は家族の形を4つに分類し、各国の出生率転換を予測することで、世界を読み解いたのだという。◆まあ、実際にどうなんだろうとは思うが、色んなことを考える人がいるものだと感じた。新書のテーマとしては面白いなぁ。◆①絶対家族型(英、米)、②平等主義核家族(仏、西班牙)、③直系家族(独、日本)④外婚制共同体家族(露、中国)
2023/03/25
ころこ
ちょっと前のトッドは、最近のマルクス・ガブリエルのような役割でしょうか。通訳を介して予言者のように日本社会を切りますが、確かにその背景にある学問的根拠が分かり辛く、当時は真剣に耳を傾けていなかったと思います。批判があり歴史地理学に転換していて転換後がその根拠のようですが、むしろその前の共時的な構造主義の方が重要な仕事だと思います。マルクス主義を批判し、同時にマルクス主義を飲み込んでしまっています。統計的なデータを重視し、実証主義的な風潮に後押しされている完璧な客観性の中に、彼の主張を強烈に感じます。まず家
2021/10/19
樋口佳之
トッドの理論の概説部分はなるほどですけど、後半は放談だなあ。真珠湾攻撃を最終的に決めた人がいないとか、図上演習では被害甚大にも関わらずとか。
2020/09/27
さきん
トッドの著作は何冊か読んできたので、既知な内容だが、図表が分かりやすく、他の人にも解説しやすくて、教科書としていいなと思った。家族形態が社会のあり方に与える影響をこと細かく解説している。
2019/05/01
kawa
(再読)トッド氏の主張する4種類の家族システム類型によると、日本は長男が両親と同居・財産の多くを相続する「直系家族型」だそうな((兄弟間の公平・不公平を基準にするところが秀逸だと思う。)。この型の特徴は、主体的な意思決定をしない権威者である父親の意をくんで(忖度して)、それぞれの成員がその意を実現する方向に向かって一斉に行動する特徴がある。その場の空気で物事が何となく進んでいくのだとも換言できる。有名な「失敗の研究」で、太平洋戦争開戦の理由にそんなことも書かれていた記憶。あな、恐ろしき指摘。
2020/05/26
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