殺人に至る「病」 精神科医の臨床報告 (ベスト新書)
殺人に至る「病」 精神科医の臨床報告 (ベスト新書) / 感想・レビュー
香菜子(かなこ・Kanako)
殺人に至る「病」 精神科医の臨床報告。岩波 明先生の著書。殺人に至る「病」を知らないと、殺人事件を減らすことなんてできない。殺人に至る「病」への理解を深めることが、殺人事件を減らすことにつながるのかもしれない。殺人に至る「病」を持つ人、殺人犯を頭ごなしに非難したって貶めたって、何の解決にもつながらない。そうだとするなら、これ以上悲惨な事件が起きないためにも、手を差し伸べるべきところは手を差し伸べて社会全体で支えてあげないと。
2022/06/27
リッツ
実例と共に犯人の精神を分析、「狂気と正常の間に厳密な境界線は存在しない」資質、環境、きっかけ…人は誰でも危うさと共に生きているのだろうか?
2018/09/12
gtn
サイコパス等の「精神病質」を「病」に含めているところが新鮮。実例として、絵本作家の武井遵が、偽札を作ったり、宝石商を銃殺した事件を挙げる。彼は気分の移り変わりが激しく、睡眠薬を常用。それを加味しても、人格障害は疑いようがなく、減刑の対象になると結論付ける著者。実際無期懲役となった。だが、北九州監禁殺人事件の緒方太はどうだろう。事件の凄惨ゆえに極刑判決。彼も典型的なサイコパス。著者の主張に沿えば、死刑不当となる。だが、国民感情と逆行する。
2023/12/23
Moeko Matsuda
んー、タイトルを考えると、もうちょっと個々の事件に関して掘り下げて欲しかったなというのが本音。だけれども、「悪」とは何かを考える、というテーマなのであれば、これはこれで良いのかもしれない。重度の精神病患者が起こした罪は、たしかに罪であるが、単に悪だと呼べるのか。マインドコントロールによって強要された殺人は、誰の罪であり、誰が悪なのか。本書ではオウム真理教の事件についても触れられている。13名の執行が終わった今、決してやり直せなくなった断罪のやり方を、我々はどう評価するべきなのか。非常に考えさせられた。
2018/07/29
ふたば
理解しがたい理由で、重大な犯罪を犯してしまう人たち。持って生まれた犯罪者としての気質、心を病むことによる、異常な精神状態、正しい養育がなされなかった結果、周りの無理解、不安定心につけこむ悪意。これら取り返しのつかない犯罪を履行させてしまう。これらに、精神科のかかわれる例は少ない。起きてしまってからでは対応のしようがない。精神科医のやりきれない部分なのではないだろうか。犯罪に至る前に、何とか対処する方法がないものだろうか
2018/10/01
感想・レビューをもっと見る