ラストワルツ
ラストワルツ / 感想・レビュー
どんぐり
村上龍さんも、いまや60代である。この本には、確実に刻まれたシワの目立つ作家のポートレイトが数葉あり、文章には“歳をとった”と思われる老いを吐露する言葉が繰り返し出てくる。それを包み隠さずに吐露しているのが、また面白い。これは、人生終焉に向かう龍さんのラスト・ワルツなのか、そんなことはない。いまの社会のありようをきちんと見て、鋭いところを抉っている。これからも毒のある言葉を放ってほしいものだと思う。
2015/09/27
starbro
村上龍は数十年に渡って読んでいる作家の一人です。しかし今回の村上龍は衰え過ぎです。40年近く書いていると勤続疲労になるのでしょうか?村上龍が浴室のTVでTVショッピングを見ている話なんか読みたくありません。村上龍より年上ですが、北方謙三の方がよっぽど元気です。YouTubeにアップされている本書のタイトルにもなっているグレースケリーのラストワルツは素敵ですが、村上龍の格好つけのポートレイトはいただけません。どうせ載せるならグレースケリーでしょう!
2015/05/19
ロマンチッカーnao
老いについて書かれている文章が印象に残った。この国の老い、そして自分自身への老い。62歳になり、60歳の定年が妥当であるとの認識を持った村上龍さん。心も肉体も老いたとの吐露。音楽、文学、映像、サッカーへの興味の減衰。自分自身が老いておっている現状を素直に書き、その上で、この国全体が老いていき、衰退しているのに、なんの対策もなく、出口のない現状。しかし、じゃどうしたらいいのか。それについても、わからない。の一言で終わる。村上龍さんを読み続けて来た、僕にはとても寂しく感じました。しかし、小説を書くエネルギーは
2015/09/17
しゃが
TV番組『カンブリア宮殿』のラストに村上さんが原稿用紙に収録後の思いを書くシーンが好きだ。先を見据えた視点が好きだ。久しぶりにエッセイも読んでみたくなり手にしたが、深さを感じられず残念だった。「蔓延」が嫌いだと言う彼は一歩先に「意味のない停滞」に身をゆだねようとしているのか。TV・新聞も見ず、小説を読むことも苦行だと語る。フレッシュトリュフは1㎝の厚さにスライスするのが常道なのだそうだ。彼が今を憂う「場」と私が憂う場は大きな違いがあった。バブリーなエッセイで終わった。
2015/05/26
ブルー
今の日本は迷っている。若者も老人もみんな迷っている。村上龍も迷っている。みんなどこへ向かってゆくのだろう。わからない。
2016/09/02
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