カフカ〈新訳〉: マイナー文学のために (叢書・ウニベルシタス)
カフカ〈新訳〉: マイナー文学のために (叢書・ウニベルシタス) / 感想・レビュー
harass
試しに取り寄せで借りる。一通り目を通す。カフカの作品と手紙などを、著者たちの思想を用いて解読(1975)。意味や形式でもなく、強度や機械、アレンジメントという用語を用いて考察。正直この著者二人の哲学本などはあまり読んでいないので馴染みが薄く、通常の読み方では、何が表現されているのか意図も寓意も不明なカフカ作品の人物や小道具や背景を、この独自の方法での読み取ろうとするため難解。不可解だが魅力的なカフカ作品へのアプローチの一つであり、新しい文芸批評の可能性を示したといえる。
2018/06/21
amanon
短く小気味良い文体に惹かれてほぼ一気読みしたが、中身の内容は殆どちんぷんかんぷんという塩梅(苦笑)。カフカの作品はほぼ一通り読んできたはずなのだけれど、それでも著者達特有の用語が頻出するため、「それってどういうこと」と突っ込みたくなること数知れず。そういう意味でもう少し詳しい訳注が欲しかったと思うことしきり。ただ、カフカの手紙や日記から伺える、女性関係と女性に対するスタンスが垣間見えたのは、興味深かったけれど。それらの未読の文献や、既読の作品を改めて読んでみたいという気にさせられたのが、収穫だったか。
2024/05/06
ルンブマ
D+G『カフカ』第4章。これはかなり実際的な執筆論(アウトライナー論)として読めますね。が、カフカ自身に「形式」への志向はなかったわけで、文を書く上での「挫折」はその度に「傑作」であったとしても、では私たちはそのアレンジメント(形式化?)をどうするか?という問題は依然として残ります。
2023/09/25
ルンブマ
D+Gは精神分析の隠喩のシステムを批判するが、隠喩のシステムからは逃れられていない。『カフカ』で語られるオイディプス構造のあえての拡大=マイナー文学的戦略というのも、その実、あまりに精神分析的なシニフィアン解釈だし(「隠喩の逆」とは言っているものの、結局は隠喩の構造の中にある)。
2023/08/14
ろくしたん
ドゥルーズとガタリの共著。表紙が変。自分がカフカについて持っているイメージとはいまいち違う気がしたが、「身体性」みたいなところには共感できた。カフカは意外にかたいのか、やわらかいのか。読み手に多様な解釈をされるというのがいいのか。
2020/01/23
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