山のいのち (えほんはともだち 10 立松和平・心と感動の絵本 1)
山のいのち (えほんはともだち 10 立松和平・心と感動の絵本 1) / 感想・レビュー
やすらぎ
夏休み。父の車に乗せられて細い山道を抜けると、行き止まりは深い森、父の故郷であった。都会の団地という一角で育った私、静一は老いた祖父に預けられた。山の稜線の上には、遮るもののない空と雲が広がっている。森の奥で飼われたニワトリと野生のイタチ、いのちといのちがつながる物語。そこに営みがあれば生活の知恵が生まれる。自然循環の一員として、祖父は軽やかに振る舞う。人間が生きるということは動植物のいのちを頂くということ。都会にいると知識や流行りを求め続けてしまうけど、少年の瞳には、貴重な思い出が焼きついたことだろう。
2023/07/30
kanegon69@凍結中
立松和平さんx伊勢秀子さんの素晴らしい絵本です。立松和平さんと言えば、ニュースステーションでの素朴な現場リポートを思い返します。立松さんのお人柄、自然を愛する気持ちをそのままダイレクトに表現した文章!そして絵がこれがまた凄く力強い油彩画で、圧倒的な自然の迫力を表しています。少年の心の中を表した絵も素晴らしい!じいちゃんと二人の様子も、温かくもありながら、心を閉ざした少年の力強い再生の様子を表しているかのような絵です。圧巻の森と川の中の描写!これは本当に絵本か!原画ではないのか!絵本からの迫力が迫ってくる!
2019/11/22
モリー
恥ずかしながら、お名前だけは存じ上げていた立松和平さんの文章を初めて読みました。魅了されました。幅広い世代の方に受け入れられる絵本だと思います。男性には特におすすめです。父が息子へ抱く思いが今になってようやく理解出来るようになった今、この絵本に出会えて良かったと思います。伊勢英子さんの絵は、私の知るものとは画風が異なりましたが、私にはどちらも心地く感じられます。
2020/05/24
ぶんこ
伊勢英子さんの名前にひかれて読んだ本。命の循環がテーマの絵本でしたが、はたして静一君は何を感じとったのでしょうか。常日頃食している命、手にする時には命を感じさせない状態に慣れてしまっているからか、他のドキュメンタリーなどでも、動物たちの食を求めての場面を観ていられない。特に不登校の静一君の繊細な心が気になる。おじいさんに罪はない。生きるということを考えさせられる絵本でした。
2022/03/26
とよぽん
山に生きるものの、命のつながり・・・難しい物語だった。伊勢英子さんの絵は『海のいのち』と同じく、自然の深みや静一の反応、生きものの姿などを鮮やかに描き出している。祖父に竹ざおを渡されて、静一は岩の上に立って構えた。「イタチの気持ちになって」と祖父が言う。そして、イタチを水面にたたきつけた。「水の感触をイタチは全身であじわっている」というラスト。いのちといのちのやり取りが力強く表される。1990年、課題図書。小学生はどんな感想をもったのだろうか。
2020/08/06
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