信太の狐 (日本の物語絵本 7)
信太の狐 (日本の物語絵本 7) / 感想・レビュー
yomineko
「信太」はしのだ、と読み、関西地方の地名らしい。信太明神という神様もいる。さて、子ぎつねを助けた安倍安名は石川右衛門に捉えられてしまう。助けてくれた僧侶は実は子ぎつねの親だった。しかし、助けられながらも深手を負った安名、美しい女性に介抱されやがて二人の間に童子という子どもが出来る。しかし、美しい女性の正体は狐。辛い別れとなってしまう。この童子の成長した姿は、後に平安時代に大活躍する安倍晴明である。宇野亜喜良さんの美しい絵も見もので、オススメです😊
2024/04/20
よこたん
“われ、野干なれど 恩はわすれず” 子狐を助けられた親の心が痛いほどしみる。何の得があるでもなしに、安倍の保名がただただ必死で助けた小さな命は、瀕死の保名を救う。恩返しのつもりが、愛に変わり、授かる命。結末は知っての通りさみしくて仕方がないけれど、そのさみしさもまた、後の安倍の清明を育んだのだろう。宇野亜喜良さんの余白をいかした抑えた色味の絵がしっくりとくる。憂いをまとった父と母(美男美女)の、陰りを帯びた目の表情がたまらなくて、うっとり。子どもは今ひとつかわいくない。お揚げさんを信太という理由がわかる。
2020/02/11
なお
『信太の狐』は『山椒大夫』等と共に説経節の代表作。『葛の葉物語』として歌舞伎等でも親しまれる。天文道を学ぶ安倍安名。泉州の信太明神への月参りの際、狩りをする男の手から小狐を助ける。手傷を負った安名は見知らぬ女性に介抱されいつしか夫婦に。可愛い童子も授かり幸せに暮らすが、ある時、女性は本性の狐の姿を我が子に見られ、「こいしくば たずねきてみよ いずみなる 信太の森のうらみ葛の葉」の歌を残して去って行く。母に会いたい一心で信太の森を懸命に探し歩く父子の姿は哀しい。天文博士の安倍晴明は童子の成長した姿だという。
2024/01/17
遠い日
異類婚姻譚。有名な安倍晴明の出自の伝説。切ない母の愛が、胸を打つ。宇野亜喜良さんの絵の艶っぽさと相俟って、独特の世界にぐいと引きこまれる。
2016/03/02
april-cat
平安時代のスーパースター安倍晴明、出自のお話し。宇野さんの絵が良かったです。「信太妻」「葛の葉物語」、どちらも名前は聞いたことがあるだけだったのですが、同じものだと西本鶏介の解説で初めて知りました。
2012/12/03
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