古本道場
古本道場 / 感想・レビュー
hiro
この本にたどり着いたのは、角田さんの『ポケットに物語を入れて』に岡崎さんの本の解説が載っており、その『古本生活読本』でこの本を知り、ネット古書店で購入した。古本の岡崎師匠が弟子の角田殿に課題を出し、いろいろな古書店を角田殿が訪れ、岡崎師匠が解説を加えるという構成だが、さすが角田殿は筋が良くすぐに上達していく。あの『曽根崎心中』を翻案した角田さんが、歌舞伎、文楽の充実した古書店で、「まったく知らない世界で、またさほど興味もない」と書いているが、もしかして古書店巡りで興味がわいて、書くことになったのだろうか。
2015/01/01
ユメ
岡崎武志さんが角田光代さんに「古本道」を指南する「古本道場」。最初の指令は「神保町で、子ども時代に愛読した本を探せ!」。なんと粋な古本道入門だろう。私もこの本に倣って古本屋巡りをしたくなった。新刊書店が今という時代を映し出す場所なら、古本屋は、人の生きた痕跡や文化を受け継ぐ場所なのかなと思った。歴史の証言者だ。角田さんが購入した本の表紙を眺めているだけで、私もますます本が愛おしくなる。「本は、人という生きものに絶対的に近しい」これからも、本とともにある生活を送りたいなと強く思う。私も、古本道に入門します!
2018/02/11
lonesome
老舗の古書店から新進気鋭のオシャレな古本屋まで、古本道初心者の角田さんが師匠の岡崎さんから指令を受け修行していくエッセイ。存在すら知らなかった本と巡りあったりそこから興味が広がっていく過程が身近に感じられるし、古書現世で「何か得体の知れない気分がもやもやとわき出てきて私をたじろがせる」あたりもとても臨場感がある。そしてその時のサイン入りの「ベトナム戦記」が「作家の本棚」で特に大切な本と紹介されてるのも嬉しいし、「最後の晩餐」の解説もこの行脚がきっかけかなと思うと立ち合っているみたいで感慨もひとしおだ。
2015/12/01
たま
岡崎さんを古本道の師として仰ぎ、弟子の角田さんが古本屋巡りしていく古本道場。私からすれば角田さんも本について博識であると思うけど、角田さんは自分の無知を認め、敬意と謙虚さをもって一つ一つの古本屋、そこにある古書と出会っていくので、古書に疎い私と同じ弟子仲間であるという親しみを感じられました。目当ての本を探す楽しみはもちろん、古本屋を巡れば巡るほど自分のアンテナが鋭くなっていくことや、購入する本たちが不思議とつながりを持っていくことなど、数店渡り歩かないと分からないことがたくさんあるようで興味深かったです。
2015/01/26
メイ&まー
岡崎師匠と弟子・角田さんの古本指南一年分。古本の世界は間口も奥行きもあって、私たちを拒んだりしない。楽しいなあ、こんな古本屋さんをめぐるの。私の住む町には古本文化がまったく根付いていない。古本屋は、本を安く買えるだけじゃなく、思いもかけない出逢いがあったり知る由もなかった扉を開くことができる場であるはずなのになあ。東京っていいなと楽しさ半分、妬ましさ半分で読みました(笑)。おもしろかった。
2016/10/25
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