KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

空と海のであう場所 (ポプラ文庫 こ 1-1)

空と海のであう場所 (ポプラ文庫 こ 1-1)

空と海のであう場所 (ポプラ文庫 こ 1-1)

作家
小手鞠るい
出版社
ポプラ社
発売日
2015-01-02
ISBN
9784591102978
amazonで購入する Kindle版を購入する

空と海のであう場所 (ポプラ文庫 こ 1-1) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

ヴェネツィア

タイトルに魅かれて購入。著者は、何かでアイルランドの最西端に位置するディングル半島を知って、その風光に触発されてこの物語を書いたのだろう。実際にそこにも行ったかもしれない。タイトルの持つ抒情性に比べると、内容はこれに追い付かない。とりわけ物語内物語の泥棒猫と遊牧民のお話が残念ながら浅薄である。また、物語中の設定にも安易なものが多く、このことがリアリティの欠如を招来している。木の葉はそんなに頻繁に海外出張に?彼女はそれほど英語が堪能な設定だった?何日か経ってからアイルランドに行って間に合う?キリがないほど。

2018/12/05

さてさて

主人公・木の葉の三つの時代の”恋愛”のかたちを三層それぞれに描いていくこの作品。そこには、かつて二つの時代を共にした五十嵐から受けた童話の挿絵依頼を『頭の芯が痺れてしまいそうなほど、嬉しかった』と快諾した木の葉のそれからが描かれていました。小手鞠さんらしい美しい表現の頻出にうっとりするこの作品。”小説内小説”がそれを包み込む外側の小説と見事な融合を見せていくこの作品。「空と海のであう場所」という印象的な書名が指す彼の土地が結末をドラマティックなまでに演出していく見事な物語展開が強く印象に残った作品でした。

2023/03/07

優愛

作家となったアラシの物語に木の葉の描いた挿絵が光る「泥棒猫と遊牧民」二人の夢の集大成は寂しくも温かい最期を迎える。出会いから別れまで、再生までもが私は好き。夕凪、勿忘草のような色をした空のその奥に見つけた愛しい人。一人で逝かせたくない、二人で生きていきたい。苦しくても傷つけ合ってでも何かを奪うことになったとしても、そこに幸せが二人分あればそれだけできっと充分だもの。楠んだ世界に映る二人の愛を風が優しげに撫でながら薫らせる。こんなに好きだと思えた本は初めてで戸惑いが隠せない。装丁の淡い色味の海もお気に入り。

2015/02/11

KAKAPO

読む人によって、読んだ時の気持ちによって、感じ方が大きく変わってしまう物語りだと思います。だから、きっと私の感想・レビューは余計なものでしょう。それでも私は、誰かを愛している人たちに、誰かを愛したい人たちに、誰かから愛されているのに自分では気がついていない人たちに、そして、誰かを愛し誰かから愛されている人たちに「クリスマスイブまでに、この『空と海のであう場所』を読んでみたら?」と薦めたいと思います。誰かをもっと愛せるように、身近に愛すべき人がいることに気づくように、誰かから愛されていることに気づくように…

2014/12/18

(C17H26O4)

自由じゃなきゃだめな気がする。葉っぱちゃんがどれだけ受け入れても、やっぱりアラシは自由と孤独を求めてしまう気がする。こんな風に思ったらお話が台無しかもしれないけど…。嘘や創作で自分を守ってきたアラシ。危うくて繊細すぎるよ。葉っぱちゃんは幸せな猫になったけど、アラシは定住できない遊牧民のままだと思う。それでも引きつけ合い、お互いを求める気持ちは運命としか言いようがないのかもしれない。もの悲しく美しい表紙の写真は、空飛ぶ魂の粒子のお話を葉っぱちゃんに作って聞かせた頃からの、アラシの心象風景そのものだと思う。→

2018/05/08

感想・レビューをもっと見る