トレマリスの歌術師 1
トレマリスの歌術師 1 / 感想・レビュー
星落秋風五丈原
顔が小っちゃくておさげ髪の表紙の少女がカルウィンだ。規則ずくめの社会で生きながらも好奇心旺盛で、外の世界への憧れを抱いていた、いわば異端者の彼女が、外界からのまれびと=ダロウと出会い、外で起きている問題に対処することで成長していくビルドゥングスロマン。歌が魔力を持つ世界で、九つの歌をすべてものにした歌い手=万歌の歌い手(原題)となった者が、世界を想いのままにする力を持つ。我らがヒロインカルウィンが、どうやらそうらしい、というのが次第に明かされていく。
2022/09/10
あややん
歌を歌って魔法を使う。。。 歌を歌ってその旋律を織り上げる、練り上げる。あとがきにいろいろな国や地域の伝説が混じっていると書いてありましたがその通りだと思いました。とてもきれいで素敵だと思います。世界を知らないカルウィンが偶然一人の男の人と出会って世界を知る。王道ファンタジーだなと思いました。とても面白かったです。カルウィンの性格がかわいい。しれにトラウトの性格もとても好きです。文句を言いながらも怖いからついていく。かわいい。カルウィンとダロウの恋の気になります。 この間だけでも完結してる気がします。
2015/01/22
鏡也
作者は読書家。ファンタジー小説第一作目。呪文の詠唱の代わりに歌術により魔法を使うことができる世界。世界には九つの歌があり、そのすべてを修めると世界を統べる。氷壁に囲まれた世界で見習い巫女をしているカルウィンは、ある日壁の内側で男が倒れているのを発見する。そこからカルウィンと男の冒険が始まる。
2016/10/30
山川欣伸(やまかわよしのぶ)
歌による魔法が息づくトレマリスを舞台にした、見習い巫女カルウィンの物語。3部作の1作目となる本書では、氷の歌術を持つカルウィンが、外地の若者ダロウと共に、邪悪な歌術師サミスからの逃亡劇で開始する。本書の魅力は、歌術というユニークな魔法体系と、九つの歌術がトレマリスの歴史や文化に影響を与えているという世界観にある。カルウィンは旅を通じて成長し、歌の共鳴を通じて力を行使しながら、仲間と友情やパートナーシップを築いていく。この本は、ファンタジー小説の王道を行く作品で、歌や音楽が好きな人にもおすすめである。
2023/11/30
菱沼
女性だけの場所で巫女として育ち、才能を持っていて、男とともに逃げ出す……。『ゲド戦記』の『こわれた腕輪』じゃないか、と思いつつ読む。その主人公の少女がまた、料理・裁縫・糸つむぎなどが苦手の問題児ときては、そのステレオタイプなことにびっくり。でも、物語にこういう安定を求める人が多いから成り立っているのだろうか? 面白くはあったけれど、サミスの最期のあっけなさに、これでいいのか、と思う。2巻、3巻あたりで甦るのかもしれない。浅羽莢子さんの遺訳であることに興味を惹かれて読んだ。
2016/03/15
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