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わたしの美しい娘: ラプンツェル

わたしの美しい娘: ラプンツェル

わたしの美しい娘: ラプンツェル

作家
ドナ・ジョー ナポリ
Donna Jo Napoli
金原瑞人
桑原 洋子
出版社
ポプラ社
発売日
2008-09-01
ISBN
9784591104941
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わたしの美しい娘: ラプンツェル / 感想・レビュー

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白玉あずき

母と娘の関係性のむつかしさ。ツェルや、ツェルの生んだ双子が男の子だったらこの物語は成立しなかった。愛着という束縛、愛の暴力性、「魔女」という妄想が含む多義性。心理分析の副読本みたいだと思ったわ。樹木=大地母神という図式もありか。卵の象徴性、自由に羽ばたく魂の鳥、閉じて煮詰まった女の関係に、外から介入する男性性とか。色々面白い。

2021/07/05

小夜風

【図書館】「逃れの森の魔女」が良かったのでドナ・ジョー・ナポリさんの本を……。ラプンツェルを元にしたお話で、初めは元気で明るいツェルにどうしてもディズニーの「塔の上のラプンツェル」が浮かんで仕方がなかったのですが(笑)、塔に閉じ込められて徐々に狂っていくツェルの様子がとてもリアルで痛々しく、胸が苦しくなりました。母親の狂おしい程の愛情もとても悲しくて、みんなが幸せになれないものかと願いました。童話をここまで膨らませられるのが素晴らしいですね。切ないけど……面白かったです。

2015/07/02

徳浄さん

童話ラプンツェルを元に書かれたというが、魔女もツェルも現実に居そうで痛ましく感じた。娘を愛しているがそれが独善的だと気づかない母親。母のあとに従う子供だった娘が思春期に入って、その束縛から逃れ新しい世界に目を向け初める時の親子の諍い。そう考えたらコンラッドなどは酒のつまのようなものw。

2017/04/21

kariya

世界中の誰もが知っているおとぎ話も、違う角度から光を当てれば全く別の形が見える。溺愛するがゆえに娘を塔に閉じ込め束縛する母の愛は、ひどく歪で誤っていても、そうならざるを得なかった切望と払った代償を思うと、ただ哀れで仕方がない。そういった感情描写の細やかさだけでなく、結末での魔女の行動を一面的に悪しきものとしない描き方もまた納得できる。物語は誰もが知る結末を迎えるけれど、個人的なもう1つの”めでたしめでたし”は、「間違ってはいても、それもまた愛情だった」、とツェルが知っていること。

2009/07/20

michi

おとぎ話には魔女の側の物語などない、ただただおそろしいだけ。でもこの話は魔女となった哀しい女のただただ憐れな母性が語られている。母の行き過ぎた愛情と執着、娘の誰もが通る成長による親離れ、残酷な思春期、これはおとぎ話ではなく、誰の心にもある子離れ出来ない母娘の物語。

2009/07/05

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