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翻訳のココロ (ポプラ文庫 こ 2-1)

翻訳のココロ (ポプラ文庫 こ 2-1)

翻訳のココロ (ポプラ文庫 こ 2-1)

作家
鴻巣友季子
出版社
ポプラ社
発売日
2008-12-05
ISBN
9784591106303
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翻訳のココロ (ポプラ文庫 こ 2-1) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

鴻巣友季子氏による翻訳のあれこれを巡るエッセイ。まずは、翻訳とはどのような営為なのかを比喩を用いて考える。例えば「棒高跳び」ーけっしてやり過ぎてはいけない。棒のギリギリを美しく跳ぶのである。はたまた「マラソンランナー」ー翻訳者は長距離ランナーの孤独とひたすらに向き合うのだ。あるいは「二人羽織」ー翻訳の理想はクラシックバレーの「リフト」のように。次いでは『嵐が丘』のブロンテ・カントリーを逍遥しながら、またまた翻訳を考える。この地は思っていたよりも遥かに地勢も気候も厳しいようだ。まさにそれは翻訳のごとく。

2022/08/02

yumiko

この間読んだクックの翻訳が素晴らしかった。「嵐が丘」は酷評されたようだけれど、一体どんな方なのだろうと思っていたら、近所の古書店でこの一冊に出会う。私よくこういうことあるなあ〜。翻訳とはなんぞや…?棒高跳び、漁師と網、バレエのリフト、合気道、様々なものに例えながら、翻訳の真髄に近づく。命題に頭を悩ませながらも、なんとかこちらに伝えようと言葉を尽くす姿に好感。「嵐が丘」翻訳にあたっての巡礼紀行、柴田元幸さんと対談も面白かった。「すべての翻訳は暫定案である」との説は御尤も。

2016/02/25

あいくん

☆☆☆☆「100分で名著」の鴻巣友季子さんが語る「風と共に去りぬ」を見て、鴻巣さん役の「風と共に去りぬ」を読みました。2003年に書かれた本です。この本は翻訳についていろいろ書いてありますが「嵐が丘」を鴻巣さんが翻訳したときのことがメインで書いてあります。「嵐が丘」を読みたくなりました。鴻巣友季子さんは翻訳家なんだなあとしみじみ感じました。鴻巣由紀子さんは翻訳物というのはつねに「新作」であることができると言っています。翻訳することで原作が発表された当時の新しさにもどることができます。

2020/01/19

ミツ

良作。『恥辱』『嵐ヶ丘』ほか多数の訳を手掛ける著者の“翻訳とはなんぞや?”という問い掛けを巡るどこかのほほんとしつつもキラリと光るエッセイ集。 特に『嵐ヶ丘』の翻訳を巡る一連の話が分量も多く読みごたえがあり、また実際に舞台の地であるヨークシャーを含め欧州各地への取材旅行の様子が語られるので、紀行文としても読める。 また柴田元幸との対談も収録されており、かなり面白い。両者と他に岸本佐知子のそれぞれの翻訳観の違いには思わず笑ってしまった。

2011/03/08

ゆき

翻訳家がテクストに取り組む姿勢を面白く描いているエッセイと柴田氏との対談です。「翻訳とは深入りすれば恐ろしいもので、狂気や死にふれた人が少なからずいる。」という影に付き纏われつつも、全身全霊を賭けて『嵐が丘』のテクストに取り組み生活を捧げている様が強烈でした。小説なのでテクストがすべてで評価すべきは作品であるのですが、一流の仕事には、やはり多くの犠牲をともなっているのだと。そのうち『嵐が丘』を読むのでしょうけど(本書を読んだら、読まずにはいられない!)、鴻巣訳を楽しみたいと思えました。

2009/07/27

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