食堂かたつむり (ポプラ文庫 お 5-1)
食堂かたつむり (ポプラ文庫 お 5-1) / 感想・レビュー
ちょこまーぶる
読みやすい本だった。主人公と母親の関係が良好だったらこの話は成り立たない。良好ではない関係だからこそ料理に没頭し、その料理によって母親との距離を近づけていくことができた様に思える。そして、母親の生きざまが解き明かされていくにしたがい、母親の生きること・子どもへの哲学さえも感じ取れて圧倒されてしまった。で、主人公への遺言状ともとれる母親の手紙の文面は感動的で、電車内で涙腺が緩んでしまいそうだった。
2012/07/24
zero1
我々は、命を食べて生きる。食べることの意味を表現した作品。財産とともに消えたインド人の彼氏。倫子は田舎に帰って1日1組だけの食堂を開く。確執の母と豚のエルメス。そして終盤の展開。この作品を「くだらない」と見るか、それとも「読む価値あり」とするか。読者が試されている。番外編「チョコムーン」も収録。映画にもなった「かもめ食堂」や漫画「深夜食堂」など、食堂にはドラマがある。食べる際は命を忘れず「いただきます」と言おう。何度でも再読しよう。
2019/06/26
馨
『食堂かたつむり』と短編『チョコムーン』。失恋し地元に帰省し声がでなくなった倫子が1日1組限定で料理を振る舞う食堂かたつむり、丁寧に気持ちを込めて料理を作ってくれるあんな食堂があったら絶対に行きたい。倫子が作るメニューはどれも美味しそうでした。エルメスのシーンやおかんのシーンが悲しかったです。お母さんに感謝して、言える時にちゃんと伝えたいことは言った方が良いし、我々の命には多くの生き物たちの命が関わっていることも思い知らされました。チョコムーンの主役は食堂かたつむりお客さんとして登場したカップル。
2019/05/11
青乃108号
俺は食べる事にあまり興味がない。死なない程度に最低限のものは食べるけど、食事を楽しいと思った事は今までほとんど無い。でも、食事って大事なんだな。楽しいんだな。もっと食べる事、大事に考えようかな。そんな気持ちにさせてくれる暖かい本。うちに倫子ちゃんはいないけど、暖かいご飯を作ってくれる奥さんはちゃんといる。もっとちゃんと味わって食べよう。そしてもっとちゃんとご馳走様、って言おう。そんな気持ちにさせてくれる優しい本。
2023/04/28
ウッディ
2人で小さなレストランを持つという夢とともに全てを持ち逃げされた倫子は、故郷に戻り、1日1組だけの客に料理を振る舞う食堂かたつむりの開店にこぎつける。地元の食材を慈しみ、十分に手を加えた料理は、それを食べた人に奇跡をもたらす。現実はこんなに全てがうまく運ぶはずはないと思いながらも、この優しく温かい物語に身を委ねている感じが心地良く、いつまでも読んでいたいお話でした。一つ一つのことに愛情を注ぎ、丁寧に生きる事の素晴らしさを知るとともに、幸せに生きるために必要な物って、多くないのでは思わせてくれました。
2019/06/30
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