桃尻娘 (ポプラ文庫 は 2-2)
桃尻娘 (ポプラ文庫 は 2-2) / 感想・レビュー
olive
時代とともに価値観は変化するが、いつだって、いつの時代だって、「高校生の私にだって、言いたいことはある!」青春小説の原点がここにー!70年代終わりに高校生だった榊原玲奈(ピンクコットンパンツ履いてたから『桃尻娘』と呼ばれる)と、令和を生きる高校生が抱えているモヤモヤっとしたものは、そう遠くないはずよね。だから、どの世代が読んでも面白いはず♡あの日、あのころをなつかしく思い出すことができる青春原点本。
2022/10/15
阿部義彦
橋本治のデビュー作、講談社では再販しない様なのでこちらのポプラ文庫版で新たに再読、著者によるあとがきと特別インタビュー付きで、矢内裕子さんの協力を得て大変愛に溢れた編集となってます。改めてこの小説は全部一高校生の「ブーブー」で書かれているのですね。あたしはブーブー言う事が唯一の高校三年生らしき事だと思うけど-なんて一節もあります。それと間投詞における表記法のリアリティーですね、「そうオ」「そうお」「そオお?」「そうかア」新機軸でした。後半の二篇が笑えました。便所屋と源ちゃん父と源ちゃんと先輩の鉢合わせ!
2019/05/06
sabosashi
もちろん高校生と行ってもピンからキリまで、というわけでこの間、読んだばかりの三田誠広の「春のソナタ」は真摯な高校生が扱われている。でもどう転んでも多感な思春期であるだけに必死な一途さと戸惑いが漂っていることはまちがいない。一方、男子校、女子校か、それとも共学校か、でもおなじ世界とは思えないようなものが拡がっている気がする。さてこの「桃尻娘」は当時の風俗をおもしろおかしく取り上げている。でもやはりある種の一途さのようなものも眼に留まる。やはりどうしても自分のハイスクールライフと比べてしまうのではあるが。
2024/09/24
かふ
橋本治が凄いのはそれまでの小説が男言葉(女子供のコトバの反対)で書かれていたのを女子高生言葉(桃尻語)を発明したことである。例えば太宰治が『女性徒』で、太宰が女性徒の日記を丸々写したことではないのだ。ただの日記と日記文学の違い。 九段理江『Schoolgirl』は、母親の本棚から太宰治『女性徒』を発見して読んでいるうちに、太宰治の『女性徒』文体となる。それは九段理江の文体でもあるが太宰治『女性徒』とのミックスなのである。それだがら現在性にすぐれ多くの者に支持される。文体とはそういうものだ。
2023/01/18
nemuro
帯には「追悼。デビュー作にして原点。伝説の『大河青春小説』」とあった。著者略歴を見ると「1948年東京生まれ」で、「特別インタビュー 桃尻娘の意外なルーツ」では「これを書いた当時で、主人公が自分の15歳くらい年下だった」とあるので、1980年頃に31、2歳で書いた作品であるらしく、巻末には「この作品は1981年に講談社文庫より刊行されました」とあった。私は、2010(平成今回も22)年頃、遅ればせながら53、4歳で初読して以来の再読。「女子高生・榊原玲奈のリアルな語り」と昭和な高校生を感じることができた。
2019/04/06
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