([わ]1-8)白き手の報復 (ポプラ文庫)
([わ]1-8)白き手の報復 (ポプラ文庫) / 感想・レビュー
ぼちぼちいこか
短編6話。白き手の報復、空白の実験室、背を見せた女、少女の死ぬ時、女の願い、遺書の告白。面白くて一気読み。空白の実験室は放射性物質を飲ませ内部被ばくさせるという恐ろしい殺人。福島第一原発事故後、ストロンチウムやガイガーカウンターを何度耳にしただろう。昭和49年にこの作品が発表された時、この恐ろしさを何人が知り得ただろう。少女の死ぬ時は昔TVでキリギリスという題で緒形拳主演で観た。良い作品だった。遺書の告白では癌告知の難しさが書かれていた。今は患者に告知するが本人と家族の辛さは今も昔も同じ。
2016/11/05
佐藤一臣
短編の中で「少女の死ぬ時」と「遺書の告白」が感銘を受けました。「少女~」を読んでいたからこそ、私の母親が心臓マッサージを受けているときに「もういいです」と言えました。「遺書~」を読んでいたからこそ、私の父親の癌闘病に、ある程度寄り添うことが出来ました。医療現場における家族の在り方を考えさせてくれる良い作品です。
2015/06/29
toshi
「白き手の報復」綾辻行人みたいな不穏な雰囲気で物語が進み、あらまぁのラスト。 「背を見せた女」現在では成り立たない話だと思う。 「少女の死ぬとき」美少女に心臓マッサージする外科医と人工呼吸する内科医の会話。いろいろ考えさせられる内容。 「女の願い」交通死亡事故の時同乗していた男が、疑問を持って事故の真相に迫る物語。そもそもただの学生が探偵役でそこまでできるのか。 「遺書の告白」癌で余命いくばくもない父親と家族の悲しい物語。 いずれも時代を感じる、特に登場人物がみんなたばこを吸いまくるのが今ではあり得ない。
2019/11/07
だだ
短篇が6篇入っているが、その中の「少女の死ぬ時」が大好きだ。構成、状況、設定、交わされる会話、どれも素晴らしく、自分がこれまで読んだ短篇の中でもトップクラスに入る。これ1篇だけでも本書を読む価値がある。
2015/12/17
ton
新潮文庫版にて。医療系短編集。サスペンス系「白き手の報復」葛藤など最初から無い。見事に報復完了で痛快。「空白の実験室」被害妄想とは言えなくもないが方法が残虐過ぎ。「背を見せた女」気持ちはわからないでもないけれど怖いです…。「女の願い」モヤモヤする幕引き。臨終系「少女の死ぬ時」医療現場における“生死の線引き”の難しさ。淡白な医者の対応の奥底に潜む苦悩が垣間見られる様で印象深い作品。「遺書の告白」嗚呼父の事を思い出す。
2022/04/27
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