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(015)庭 (百年文庫)

(015)庭 (百年文庫)

(015)庭 (百年文庫)

作家
梅﨑春生
スタインベック
岡本かの子
出版社
ポプラ社
発売日
2010-10-13
ISBN
9784591118979
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(015)庭 (百年文庫) / 感想・レビュー

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新地学@児童書病発動中

梅崎春生の『庭の眺め』はユーモラスな小説。自分の家の庭を通る者たちの生態を、突き放した視点から描いている。この作者一流の諧謔が生きた作品。スタインベックの「白いウズラ」は、男女の仲の難しさを表現した作品。妻の繊細な心を理解できない夫が悲しい。岡本かの子の「金魚繚乱」は豪華絢爛な文体に酔える作品。幼馴染に恋心を抱きながら、美しい金魚を生み出そうとする青年の苦闘が心に残る。百年文庫特有の効果で、三つの作品がそれぞれ共鳴し合って、庭と言う小宇宙の奥深さを鮮やかに浮かび上がらせているところに、痺れた。

2018/01/22

藤月はな(灯れ松明の火)

「白いウズラ」は既読。「庭の眺め」は手入れもしていない作者の庭を通り過ぎる動物たちと隣人の眼差しに日常に可笑しみを感じます。中でも網に引っかかってもがく鳥の描写がまざまざと目に見えるようでした。そして隣人の畑の収穫物をちゃっかり、頂いているのには笑っちゃいました。そして目にも鮮やな「金魚繚乱」の色彩美と男の執念の見事さよ。しかし、幾ら、恋心に気付かなかったとは言え、周囲を真似して女になっていく事を誂うのは空っぽな男のする事だと思う。そして打ち捨てたものの中に真の美しさが生まれる事は何時の世も変わらない。

2018/08/24

えみ

どんな風が吹き、どんな香りがして、どんな色を楽しませてくれる?そこはどんな夢や希望を与えてくれる場所なのだろうと好奇心を刺激する3篇の短編を収録した『庭』。百年文庫シリーズ第15弾。人も出没、馬も通る、ユーモアな通行者が可笑しい、梅﨑春生の『隣人』。えっ!と絶句するに違いない、スタインベックの『白いウズラ』。恋した人を金魚にしたい不変の愛を描いた、岡本かの子の『金魚撩乱』。庭という空間に笑いと恐怖と涙を詰め込んだ、3作品どれもが愛溢れて忘れ難い物語だった。庭という一風変わったテーマで纏めたセンスが好き!

2022/12/12

mii22.

三人の著者名に惹かれ、読み友さんの書評から、是非とも読みたいと思った百年文庫の『庭』とても良かった!時代を感じさせるのどかでユーモラスな梅崎春生「庭の眺め」も夫婦の感情のずれに薄ら寒さを感じるスタインベック「白いウズラ」も良かったが、何といっても初読みの岡本かの子「金魚繚乱」が素晴らしかった。非現実的な女と金魚に取りつかれたようにのめり込みむ青年の恋情が、独特の絢爛たる文章と官能的な表現により矯艷な物語となり酔わされるようにクラクラと読まされた。岡本かの子に心をグッとわしづかみされた。

2018/03/07

モモ

梅﨑春生『庭の眺め』庭と言うより空き地の我が家の庭には鶏や猫や犬、馬までやってくる。隣家の夫婦は縄を張り、小鳥を捕まえ売るしまつ。そして畑まで作ってしまう。明るい文章で好み。スタインベック『白いウズラ』庭を愛し、庭が人生の中心にある妻。夫は分かって結婚したものの…。通じ合えない寂しさゆえ起こる事件。岡本かの子『金魚繚乱』愛する真佐子を追い求めるように新種の金魚をつくろうと研究する復一。全てを捨てて打ち込んだものの…。諦めきった後に起こる奇蹟。この作品だけ庭とは違う感じ。梅﨑春生の作品をもっと読んでみたい。

2022/10/27

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