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(039)幻 (百年文庫)

(039)幻 (百年文庫)

(039)幻 (百年文庫)

作家
川端康成
ヴァージニア・ウルフ
尾崎翠
出版社
ポプラ社
発売日
2010-10-12
ISBN
9784591119211
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(039)幻 (百年文庫) / 感想・レビュー

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アキ

川端康成『白い満月』17歳の女中お夏が父親の最期を夢で見たことを聞いた私は、海面の幻を見た。お夏は自分が死んだ夢を見る。私は月に引っぱられて膨らんでいる海面の幻が見えた。2人で死の予感に怯えながら彼女を抱いた。ヴァージニア・ウルフ『壁の染み』目に入った途端に心が惹きつけられ思考が動き出す。これから戦争が起こるという時代、すべてのものは動いている。消えつつある。尾崎翠『途上にて』図書館から自宅までに巡らす美しい少年の足の幻想。デザイアは人間を斃死させ、純粋な思慕は祈祷のかたちの死を与える。「幻」で貫く3編。

2021/12/16

モモ

川端康成『白い満月』肺の病で温泉場の別荘で療養している私。そこを訪れた妹の八重子。夕空の白い満月の下で語られる、もう一人の妹の静江のこと。姉の元恋人と結婚した静江に悲劇が起こる。ヴァージニア・ウルフ『壁の染み』壁の染みから広がる想像。ウルフはやはり難しいと思っていたら、最後にずっこけた。ウルフのうふふと笑う顔が見えるよう。尾崎翠『途上にて』夜の散歩で父の暗示にかかったと嘆く男性の友人が現れ、また去っていく。「会話を忘れかかっている私の喉」という言葉が何だか悲しい。尾崎翠の作品をもう少し読んでみたい。

2020/08/14

アルピニア

「白い満月/川端 康成」主人公が療養先で雇った「お夏」は遠方に住む彼女の父の死を夢に見る。彼女が纏う諦めにも似た佇まいに興味を持つ主人公のもとに長妹が訪ねてきて・・。長妹と末妹との過去が明らかになる過程はサスペンスのようだと感じた。「壁の染み/ヴァージニア・ウルフ(西崎 憲 訳)」「途上にて/尾崎 翠」静かにさわさわと広がっていくような想念。身を任せて、ぼんやりと浸っていると何かが浮かび上がってくるのだが、見極めようと目を凝らすと消え失せてしまう。不思議な読書体験だった。

2022/05/31

神太郎

幻想的な話が多かった。ヴァージニア・ウルフと尾崎翠は実際神経症も患っていたようなのでだからこそ見えてる世界ってこんな感じなのかも?川端のはやや、オカルト的だが読み終わったときに「こいつは……」って思わせるのは流石。ヴァージニア・ウルフはとにかく奇怪だがオチはおお?!って感じ。でも、奇怪な感じの演出がうまい。尾崎翠に関しては申し訳ないがあまりはまらず。夢想状態のまとまりのなさってこんな感じかも。掴み所がなく苦戦。

2017/06/18

臨床心理士 いるかくん

3篇から成る短編のアンソロジー。川端康成の「白い満月」が突出して素晴らしい。

2014/01/20

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