(046)宵 (百年文庫)
(046)宵 (百年文庫) / 感想・レビュー
風眠
もしも過去にタイムスリップできたとして、明治時代の人と話をするには通訳が必要かもしれない、ふとそう思った。口語と文語は違うけれど、この『宵』に収められた文語で書かれた物語を読むと、日本語にも移り変わりがあり現代語に至っているのだと、遥かな気持ちになる。一葉が綴る情緒、独歩の硬派な感じ、鷗外のパッション。同じ文語でも、作家によって色彩が変わる。当時は漢字をこういう風に当てて読んでいたのだなと、総ルビに助けられた読書だった。正直、スッとは読めなかった。けれど百年文庫のおかげで文語というものに触れる事ができた。
2019/02/27
モモ
樋口一葉『十三夜』望まれてお嫁に行ったのに夫は冷たくあたる。お関は離婚しようと実家に帰るも、涙は分けて泣こうと父に言われる。子どもと永遠に別れるくらいなら、その決断で良いのだろうがモヤモヤする。『国木田独歩『置土産』三角餅の茶屋の常連吉次の悲しい置土産。森鴎外『うたかたの日々』文語体で三作品のなかで一番読みにくかったが、話に入り込むと気にならなくなるのが不思議。日本人留学生の巨勢はドイツ人少女マリィと出会う。数奇な縁で繋がる二人だが、まさかの悲劇が襲いかかる。国木田独歩の作品をもう少し読んでみたい。
2020/08/12
神太郎
樋口一葉「十三夜」。とにかく「染み入る」。最初は読みづらくこれで上下2部構成読み切れるか不安だったが、ハマればさらりと読める。日本人特有のセンチメンタルと言えばいいのかエモーショナルの描写が上手い。国木田独歩の作品も感情に訴えかけるというのか「もの悲しさ」が良い。プラトニックな恋愛いいねぇ。森鴎外「うたかたの記」。ややファンタジーを取り入れつつ、ドイツ女性とエリート画家志望男性の悲恋?を描く。なんか少し展開が舞姫っぽいが読ませる力は抜群にある。でもドイツ人女性になんか恨みでもあるのか?見えない因縁を描く。
2018/01/12
阿呆った(旧・ことうら)
◆樋口一葉『十三夜』、国木田独歩『置土産』、森鴎外『うたかたの記』◆どれも文語体で多少読みにくい。どの話もせつないな〜。
2017/03/03
鯖
樋口一葉『十三夜』、国木田独歩『置土産』、森鴎外『うたかたの記』の文語による三篇。十三夜がよかった。文体に更級日記で源氏読んでるときのウッヒョーなリズム感がある。子が生まれてから夫にパワハラされまくり、離縁を望み実家に帰るも、世間体や子どもを盾に我慢しろといわれ、泣く泣く戻る途中、昔馴染みで好意を持っていた車夫に出会う。大河のいだてんで日本橋に打ちあがってた花火を思い出すような話だった。何もかもが遠い花火だった。
2021/04/18
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