(P[こ]3-1)一鬼夜行 (ポプラ文庫ピュアフル)
(P[こ]3-1)一鬼夜行 (ポプラ文庫ピュアフル) / 感想・レビュー
海猫
買ってから長らく放置してたけど読んでみたらなかなか面白い。妖怪小説として楽しいし、主人公コンビのキャラは立ってるし、連作長編的な仕立てが読みやすい。でもって各話の趣向も凝ってる。文章をもうちょっとあっさり気味にして行間を読ませてもいいんじゃないか?とは思うもののデビュー作でこれなら上出来かと。これ一冊で綺麗にまとまって終わるのも好感。でもなにやら物足りないのは、喜蔵と小春の掛け合いをもっと読んでいたいってことかな。次でどう再起動するのかわからないが、なるべくしてシリーズ化された作品なんだなあ、と納得。
2015/10/03
kishikan
前半、会話や文章に入り込めず、理解が進まなかった。しかし、3章位まで読み進めシチュエーションがつかめてくると、妖怪なのに少年の姿をした「小春」と人間なのに妖怪みたいな怖い風貌の若商人「喜蔵」との愉快なコンビのこの物語が非常に面白く、爽やかに感じてきた。明治初期の江戸の町という時代・場面設定と妖怪話の組み合わせは珍しい。また、小春をはじめとする言葉使いが、(わざとなのか)時代設定面でアレッと思わないでもないが、それでいて読者をグイグイと物語に惹きつける、小松エメルさんの創造力はすごい。期待の新人登場!
2011/04/06
ひめありす@灯れ松明の火
今は懐かしき『活字倶楽部』にて刊行されたばかりのこの本が紹介されていて、気になって早数年。新年オフ会にて頂戴して参りました。「るろうに剣心」と同じ位の時代の東京を舞台にした鬼の小春と閻魔様よりおっかない顔の喜蔵の物語。河童の茶々子、あんまり怖くない件、と小春を始め妖怪達がみんな可愛く、深雪や綾子、さっちゃんなど女の子達も負けず劣らず可愛らしくて、ほっこりした気分になりました。けれど物語全体は小春の名前の通り、冬の気紛れな暖かい日にひゅうと吹きつける風はやっぱり冷たい様な、そんな温かくも少し寂しいお話でした
2013/03/30
ちはや@灯れ松明の火
寒さが徐々に強まる晩秋の切れ間、季節がずれたような暖かい日を小春日和と呼ぶ。そんな名を持つ鬼の少年との出会いは、鬼以上に凶悪な面相の青年の人との縁薄い日々が途切れた瞬間であり、これから始まる妖怪騒ぎだらけの賑やかな生活の幕開け。人間じみた妖怪と妖怪も恐れる人間が罵り合い貶し合いつつも同じ牛鍋を箸でつつき頬張る、それはひとつ屋根の下暮らす家族同然の繋がり方。江戸から明治へ、旧い時代と新しい時代が混ざり合い、やがて魑魅魍魎犇めく夜は瓦斯灯の光に白く塗り潰されていく。だからこそ、今だけの小春日和を共に喜ぼうか。
2010/10/19
Penguin
時代物と思って読んだが、時代が明治に入っているからか、一般的な時代小説よりかなり読みやすい。 キャラが豊かで、話しが進む中での変化も楽しい。読み進めるにつれて、どんどん愛着が湧いてくるのも魅力の一つ。 伏線も綺麗に回収されてすっきりと心地好い。
2012/02/03
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