([な]5-1)ハブテトル ハブテトラン (ポプラ文庫 な 5-1)
([な]5-1)ハブテトル ハブテトラン (ポプラ文庫 な 5-1) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
中島京子の少年・少女向け小説。主人公(語り手でもある)のダイスケは小学校5年生。東京生まれの東京育ちなのだが、1学期は(前の学年からそうだったのだが)惨憺たるもので、その結果、学校に行けなくなってしまった。その打開策は2学期の1学期間だけ母親の故郷(お祖父ちゃんとお祖母ちゃんがいる)である松永(広島県)の小学校に転校するというもの。しまなみ海道を自転車で走破したり、地域のお祭に参加したり。何もかも上手く行き過ぎるのだけれど、それでもやっぱりほっとする。この人にはこんな作品も時には書いて欲しいもの。
2021/05/16
shizuka
小学生男子の視線、女子の思考、そこからの大人への率直な意見。時に子供の方が全うだ。邪気がない分。東京育ちのだいすけは学校で居場所がない。所謂不登校児。だから親は考える。少し田舎暮らしさせてみようかと。そこは広島、海の町。都会からきた男子をみんな普通に受け入れる。だいすけも戸惑うことなくすんなり馴染む。ここが子供の一番の強みだ。ちょいワルじじいのハセガワさんがだいすけの善き師匠。親や祖父母に言えないことでもハセガワさんになら相談できちゃう。今治への旅、良くやった。だいすけはもう逃げることはなくなるだろう。
2017/12/18
活字の旅遊人
あさのあつこ『バッテリー』に続いて、中国地方が舞台の児童文学。東京の小学校に居づらくなった小学五年生男子が主人公。広島県福山市松永の小学校に、夏休み明けの二学期だけ通うお話。解説が山中恒氏なのだけど、冒険的な個所はかつてワクワクして読んだ山中作品に近いものを感じた。絡みのある女子二人もいい味出している。そしてそこまで田舎ではないであろう福山に残る文化・生活をしっかり書き込んでいると思った。作中に出てくるいくつかの飲食店や寺社、公園は実在している。先ごろ閉店した朱華園の名を見て涙と唾が同時に分泌してしまう。
2021/06/11
discovery
東京の学校に馴染めず登校拒否になった小5の大輔が2学期の間だけ母の故郷の広島県、松永の小学校に転校する物語。中島さん唯一の児童文学らしいのですが、大人の自分が読んでもめちゃくちゃ良かったです。大輔と関わりのある登場人物がみんないい人ばっかりで、随所に出てくる備後弁も読んでて心地よかったです。個人的には影の主役だと思うハセガワさんのキャラが最高。表紙の大輔がチャリンコをこいでる絵を見ると今でも涙が出そう。転校したのはこの2学期の間だけだったけど、間違いなく大輔は大人の階段一段登ったよね。おすすめ。
2015/09/12
エドワード
星野大輔の五年三組は学級崩壊している。大輔は学級委員。損な役回りだよ。誰も言うことをきいてくれず、彼は登校出来なくなってしまった。心配した両親は彼を母の実家のある広島の小学校へ二学期限定で転校させる。過密都市東京を離れ、潮風の田舎町で過ごす日々。魚釣り、お祭り、のんびりした人々に癒され、大輔はみるみる活気を取り戻す。ある日、瀬戸内海の対岸に、一緒に学級委員を務めたサノタマミが引越した今治があることを知った大輔は大冒険に出る。五年生のほのかな恋心がいいね。オザヒロの「うちは、あきらめんけえね」もええのう。
2015/02/07
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