贖 (百年文庫 78)
贖 (百年文庫 78) / 感想・レビュー
モモ
有島武郎『骨』好みではない男たちのグダグダしたような日常。命を絶たれた年に発表された作品。行き詰まりを打開するため模索されていたせいか、読むのが苦痛。島崎藤村『藁草履』自分の馬が競馬で負け、その鬱憤で妻に怪我をさせ逃げる醜男子の源吉。最初の長野の描写などは好みだったが、話の展開が酷い。妻のお隅が気の毒すぎて頭にきた。ジッド『放蕩息子の帰宅』家出した息子が家に帰り、喜ぶ両親と不機嫌な兄。まだ見ぬ世界を見ようと家を出る決意をする末の弟。ちょっと微妙な読後感。今回、珍しく百年文庫の中では再読したくない本でした。
2022/11/26
アルピニア
「骨/有島 武郎」無茶苦茶に思える勃凸とおんつぁん。しかし、最後の「俺この方が似合うべ」と言う勃凸とそれを見て涙を流すおんつぁんの姿には、悔いと深い哀しみを感じた。「藁草履/島崎 藤村」源吉は、競馬に負けた悔しさと過去への嫉妬から妻を打擲してしまう。妻を医者のところへ連れていく途中で・・。妻が贖ったような展開だが、何となく腑に落ちなかった。「放蕩息子の帰宅/ジッド」放蕩息子の話は解釈が難しいところだと思う。ジッドは自分なりの解釈を書いたのだと思うのだが、宗教的というより哲学的な解釈になっていると感じた。
2022/11/18
臨床心理士 いるかくん
3人の作家からの3篇の作品から成るアンソロジー。アンドレ・ジッドの「放蕩息子の帰宅」が好み。
2014/12/13
鯖
『骨』有島武郎、『藁草履』島崎藤村、『放蕩息子の帰宅』ジッドの贖罪の話3編。でも別に主人公の男どもは3人とも無事だし、自分ではなく、妻や母や家族といったまわりの人間を死なせ、不幸にして犠牲にし、それを糧に贖うという形をとって、のうのうと生き続けてくやつばっかりだ…。あるいはまわりの人間まきこんで自死したり、自己欺瞞な贖罪のためにまわりの人間の恥部を晒して小説にし、その結果小説が今に至るまで残ったり。思いを残すすべのなかった藤村の姪や自死した小説家たちの妻のことを思うとなんともやりきれない気持ちになる。
2022/05/07
マッキー
面白いとも面白くないともいえない作品ばかり。複雑な気分で読み進めていた。どう感想を書いていいものかわからない。
2017/07/21
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