統ばる島
統ばる島 / 感想・レビュー
ヴェネツィア
八重山諸島の8つの島のそれぞれを舞台に紡ぎだされる連作長編。いずれも、その島の置かれた位置や自然環境、歴史や文化を背景に物語が語られてゆく。そこに共通するのは神々と人との共生であり、島の持つ独特の暖かみのある風土感だ。1話1話に籠められた作者の、島々とそこに暮らす人々とを慈しむ心が読者にもしみじみと伝わってくるようだ。もちろんガイドブックではないのだが、実に最高の八重山案内たりえているだろう。物語としては、出来過ぎの感もあるが、小浜島や黒島はとりわけ感動的だ。また、最後に石垣島を配した構成も成功している。
2013/05/04
mocha
八重山諸島の8つの島を舞台にした8話。それぞれの地形や歴史を背景に、ファンタジックなものやホラーっぽいものもあって面白かった。御獄(ウタキ)がキーになっていて、最後の石垣島でニヤリ。神が息づいている土地だからこそ神秘が生まれる。眩しい光と濃い緑、碧い海、ウチナーグチのエキゾチックな響き…。またすぐに池上作品を読みたくなりそうだ。
2018/05/11
巨峰
八重山諸島の八つの島の話であると同時に素晴らしい家族の物語でした。素敵な小説ありがとうございました。
2021/12/26
ぶんこ
表題の意味が最後にわかりました。八重山諸島の母なる島が石垣島で、そこを母港とする島々の神様と住人の物語。御嶽の存在の神性を理解して沖縄の島々を訪れたいです。ゾゾッとしたり、嫌だと思う場面もありながら,全体としては神と人の親和性心癒されました。
2018/01/09
禿童子
八重山諸島とは石垣島、西表島、竹富島、小浜島、黒島、波照間島、新城島、与那国島と、たしかに8つの島からなることをしっかり認識しました。あくまでフィクションでしょうが、それぞれの島にツカサとよばれる女祭司がいて、御嶽(ウタキ)に祀られる神と人々をつないでいる信仰が、過去と現在をむすぶ「時間」を生み出していることが読み取れました。小浜島の洗骨式のシーンを読んでいて、思わず涙が出たのが自分でも不思議な感覚。
2018/06/13
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