(P[ふ]2-4)船に乗れ! III (ポプラ文庫ピュアフル)
(P[ふ]2-4)船に乗れ! III (ポプラ文庫ピュアフル) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
「合奏協奏曲」の副題が示すように躍動する第3巻である。期せずして南との合奏まで果たすし、彼女のその後も伝えられる。『ブランデンブルク協奏曲』の第5番、そして『ジュピター』の練習風景と本番での演奏場面は躍動感に溢れている。演奏者の側からの視点が刺激的だ。さて、この第3巻は先の第2巻よりも一層にせつなさがつのる。サトルも、南も、そして伊藤慧も。金窪先生もまたそうだ。やはりせつなさの極みは慧だろう。全く報われることのない純な愛を注ぎ続けていたのだから。そう何年も何年もだ。エンディングは泣けるなあ。
2019/06/05
射手座の天使あきちゃん
順風満帆・ハッピーエンドも楽しいけれど、大人になりたきゃ嵐の海へ錨を揚げて船に乗れ! 妬み・裏切り雨つぶて、傲慢・見聞・自己嫌悪 次々襲う大波にも、友が行く手の羅針盤 手を携えて帆を張って水面を響く協奏曲、って感じ!(笑) 音楽表現も含めて堪能しました。 藤谷さん、ありがとう♪
2011/05/30
NAO
【月イチテーマ⠀学校・会社・組織】二流校に入った時点で才能がないことは分かっていたのではなかったか。自分の才能がに見合った音楽との向き合い方もあったのではないか。結局、主人公は、自分をあまりにもハイレベルな人間だと思いすぎていたのではないだろうか。多くの者が平凡ながらも自分なりの目標を持ち自分らしい努力を重ねて何とか生きている中、この主人公は、自分が平凡な人間だということをこれっぽっちも考えたことがなかったのだろうか。そんな気がする。
2021/01/11
ひなっとぉ
93点…読み終わってしまうのが、残念で残念で仕方なかったです。青春時代の苦い思い出を40歳を過ぎた主人公が語っていくのが、やたらジワジワと心にしみました。そして南の送った手紙は涙なしには読めませんでした。女性の母性ってスゴイなぁと、そして自分も高校生だったら、きっと理解するのは無理だったでしょう。最後には音楽から全く離れてしまったサトルが伊藤と再会し、鮎川にオケに誘われ、再びチェロに向かう。船はまだ波に揺られていたんですね。この本に出会えたことに感謝です。
2011/06/10
nins
合奏協奏曲の副題のついた完結巻。自分のチェロと向き合い、自分自身を見つめなおす。どうにもならない自分。前に進めない壁。頭で考えることと、心の気持ちとが合致しない。それでも、時間が、仲間が、音楽が、オーケストラが走り出す。高校3年間という短い期間の中にある、凝縮された青春。「船に乗れ!」とついた題名は見事。充実した内容。確かに実感できる満足さ。心から読んだと思える。バッハ、モーツァルト、ドビュッシー、どの曲も本当に、この作品読了後は聴きたくなる。良かった。
2011/03/20
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