([も]3-1)恋文の技術 (ポプラ文庫 も 3-1)
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([も]3-1)恋文の技術 (ポプラ文庫 も 3-1) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
ひたすらに辺地から一人で書簡をしたためるスタイルから直ちに連想されるのは、太宰治の『新釈諸国噺』に収録された「吉野山」である。文体等もまた随所に太宰を想起させる箇所がいくつも指摘できる。例えば「…耽っているに違いない。そうに決まった」や「ただ一切が過ぎてゆきます」といったフレーズに顕著である。あるいは全体として見れば、一人相撲の道化の哀しさといったものが。その意味では、本書は太宰へのオマージュであると言ってもいいかもしれない。なお、篇中で森見節が真骨頂を発揮するのは、なんといっても「失敗書簡集」だろう。
2019/04/18
そる
手紙だけの構成、作者自身を主人公に批判させる手法が目を引くが「夜は短し〜」と似てるし構成にも飽きて読むの進まず。恋文を書けと命令された辺りから展開して一気。過去作品の反省から恋文の技術を確立したが最後の恋文は長く、憎くないとは伝わるが好きだとは気付けない。まどろっこしい。手紙が続いて文通、って現代では奇跡。手紙いいな。仲間意識も良い。言い回しはやっぱ笑える。「ちなみに、男はふだんどんなことを考えているかというと、ろくなことを考えていない。道行く男の四割は阿呆、さらに四割は役立たず、残る二割は変態である。」
2021/05/13
佐々陽太朗(K.Tsubota)
主人公、守田・おっぱいに目のない男・一郎は文通武者修行と称して知人に宛て手紙を書きまくる。能登の実験所に飛ばされた人恋しさ故の所行である。本書には守田一郎が書き散らした百通を超える手紙が延々と記されている。『恋文の技術』というタイトルから「炎々と燃えさかる恋心」が綴られているのかと言えばそうでもない。むしろ「悶々とくすぶる屈託」がそれこそえんえんと並ぶ。手紙以外何もないのだから開いた口がふさがらない。と、同時にこの百通を超える手紙をひたすら読んでしまった己の馬鹿さ加減に唖然としてしまう。
2011/05/15
hiro
森見登美彦氏の七男、森見ワールドではおなじみの冴えない学生(大学院生)が、今回は京都から能登の実験所へ飛ばされ、森見登美彦氏を含む京都の友達・妹・先輩・教え子等へ手紙を書きまくるという書簡体小説。書簡体小説を読むのは初めてだったが、読者には主人公の手紙から相手からの返信を想像する必要があり、森見ワールド独特の主人公の妄想にいつも以上にのめりこまされていく感じがしてが面白かった。もちろん、森見ワールド定番のおっぱい、猫ラーメン、パンツ番長もでてきて、森見ファンには必見の一冊だと思う。
2011/05/20
hnzwd
世の中の美女たちを、一瞬にして籠絡する恋文の技術を手に入れたい男、守田一郎。彼の書く手紙が延々と続き、手紙を受け取った側の返信は一切出てこないのに、返信の内容を感じとることができました。手紙の内容が非常に馬鹿馬鹿しく、読んでる最中は笑いをこらえるのに必死でした。読友さんから『ぜひ貴方の感想が聞きたい』と請われ、お借りした本書。薄々は気づいていましたが、私がどのような人間と思われているのかを、改めて感じることができ、非常に良い読書体験でした。自分用買います。
2014/01/04
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