([お]5-3)ファミリーツリー (ポプラ文庫 お 5-3)
([お]5-3)ファミリーツリー (ポプラ文庫 お 5-3) / 感想・レビュー
ミカママ
小川さんの小説は、いつだって避けては通れない人生の「現実」みたいなところも織り込んでくる。タイトルの妙味。菊おばあちゃんがイイ。舞台が馴染みのある、この夏も街中をブラブラした松本市だったのもイイ。物語が出来すぎなのには、この際目をつぶろう。
2019/07/24
さてさて
『なんだか、ツリーみたいな形してるね』、と自分に繋がる線が描かれた家系図に何かを感じた流星。何か大きなことが起こるわけでもない普通の日常の繰り返しがやがて歴史を作っていく。家系図の中に確かにその人が生き、家系図の中に確かにタスキを繋いだことが記録されていく。そして、大きく大きく家族が繋がっていく、広がっていく。小川さんならではの食の絶妙な描写と、信州・穂高の美しい自然の描写、そして子どもたちの繊細な内面の描写に魅了されるこの作品。味わいのある普通の日常こそをじっくり味わいたい、そんな風に感じた作品でした。
2021/02/16
SJW
長野県の穂高駅近くの旅館に曾祖母、両親とで住んでいるリュウは、毎年、夏にやって来る父のいとこリリーに恋心をいだく。捨てられていて拾った子犬 海や、曾祖母の菊などに囲まれ見守られながら成長していく。先祖がいたからこそ自分達がいて、そして命を繋いでいくことの素晴らしさを伝えてくれる作品。穂高駅辺りは北アルプス登山の玄関であり、良く行った場所なので登山の前の興奮を思い出しながら読み進めた。
2020/08/01
ゴンゾウ@新潮部
小川糸さんの優しい物語にたくさん癒された。人と繋がることの難しさ、鬱陶しさ辛さそしてその先の素晴らしさ大切さが詰まっていた。ファミリーツリーのように。幼い頃から兄弟のように育ったリュウとリリー。淡い恋から始まったふたり関係が成長に伴い変化して行く。何度も何度も切れかかった細い糸が細々と繋がって最高は太く太く。リュウの幼さと対象的にリリーの凛々しさがとてもよかった。
2017/03/29
ちょこまーぶる
心が温かくなった一冊でした。リュウとリリーの幼い頃に描き始めた「好き」という気持ちから、二人が大人になってからの「お互いを尊重して愛する」という気持ちに変わっていくプロセスを海という犬との出会いと辛い別れや彼らを見守り続ける曾祖母たちの言動を通して温かく表現していて非常に読みやすかったですね。そして、二人の関係は穂高の大自然に育まれていていたからこそのものであって、都会ではこんな素直な関係は続かないであろうという印象も持ちましたね。これからも二人には色々なアクシデントがあると思うけど大丈夫だと思いますね。
2016/08/12
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