歩く (一般書)
歩く (一般書) / 感想・レビュー
翔亀
歩く。普通イメージする"散歩"ではない。道路、公道を歩くのではない。森や草原や沼地の道なき道を足の向くままに毎日最低4時間歩くこと。それにより、文明でなく自然を、市民的自由ではなく絶対的な自由を、そして野生を、回復する。土地の囲い込みと商業と政治につながっている道路ではなく、樹や動物や鳥や日没を、野生の自然を、ホメロスの自然を、知識でなく無知を、神話的世界を、"歩く"ことによって体験してきた。それこそ、精神を活性化させる真の経験だった。ソローが亡くなる二か月前に完成させたエッセイに真に生きることを知る。
2016/03/23
Koichiro Minematsu
宇佐美まこと氏の小説読後の「歩く」つながり。本著ではまたソローの生き方の新しい発見があった。「森の生活」をして人頭税を払っていないソローは捕まり刑務所へ。その姿勢がガンディーの不服従につながったとは。そして、何故、歩くのか。私たちと言いながらも、私たちは独りだ。結局、人生は誰と居ても、ヒトは一人で歩くものだ。と言うことか。
2019/07/03
紫羊
ソローのエッセンスみたいな本。ソローを森にとどまらせ、歩くことに駆り立てたものが何なのか、今ひとつわからないが、もともと意味などないのかもしれない。
2021/07/04
おおにし
「一日に少なくとも四時間、ふつうは四時間以上、森を通り丘や草原を超え、世間の約束ごとから完全に開放されて歩きまわることなしには、自分の健康と精神を保つことができない」と語る"歩く哲学者"ソローのエッセー。方向を定めずに歩いていると最後には自然と足が西南の方向を向いているという彼の経験から、西に向かうことは未来に向かうことであり、欧州人は大西洋の向こうの新大陸に未来を見たのだというソローの考察はなかなか興味深かった。街中では方向を定めずに歩くことは難しいが、私の足も西を向いていくかどうか試してみたい。
2014/01/22
kasmin
散歩が好きです。澄んだ朝の光の中や静かに暮れゆく黄昏時。街がキラキラし始め 刻々と夜が堕ちてくるその瞬間に立ち合えるのは貴い。ソローは一日4,5時間。距離にして2,30㎞。自然の中に身を置き 鳥の声に耳を傾け 樹木や植物とー彼なりのやり方でー饒舌に会話しながら時にただもくもくと歩く。歩くことで整えられる保っていられる精神の均衡。確かな力の源。そこから生まれる彼独特の哲学は私にとっての当に恍惚です。ソローの傍でまた健やかさを取り戻せました。今を生きながら 彼を追いかけながら 歩き続けようと思えました。
2015/11/18
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