([み]5-1)少年十字軍 (ポプラ文庫 み 5-1)
([み]5-1)少年十字軍 (ポプラ文庫 み 5-1) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
「あとがき」によれば、少年十字軍という構想は、皆川博子さんが作家デビューする以前から持っていたものを、実に40数年後に小説という形に結実させたものであるらしい。物語は基本的には史実に基づいている。すなわち、無残な失敗に終わった第4次十字軍の後、神の啓示を受けた少年エティエンヌのもとに参集した少年少女たちが襤褸のごとき姿でエルサレムを目指したというもの。解説の三浦しをんさんは「なんと芳醇な物語」と絶賛を惜しまないが、残念ながら皆川流の濃密な文体と過剰な意味の氾濫はここにはない。文体はあたかも⇒
2017/10/04
ehirano1
解説はかの三浦しおんさん!ちょっとベタ褒めなんじゃないかと思いましたが、「神は常にヒトを試す。気ままに、理不尽に。ひとの生き死にも、誠実も愛も信頼も、あらゆる貴い動機も、全て無化するような圧倒的に残酷な力。“運命”とも言い換えられる、無情の何か」の解説は流石だと思いました。
2020/02/08
ehirano1
『大いなる虚無を充たすものに、ただ、ひざまずいていた。この先も続くであろう殺戮、不条理、混沌、それら全てを融合したものに向かって、私は両手を広げた。受諾する、と。受諾はするが、戦う、と。夜が、肯いた(p367)』。この“夜が、肯いた”にはシビレマシタ。流石としか言いようがありません。
2021/12/05
勇波
元々子供向けに書かれた物語だったのか大変読みやすく、相変わらず引き込まれる内容でした。見当違いの感想になるかもしれませが、崇高な宗教的大義名分を掲げても、人間同士の争いなんて低俗なものなんですな。(冒頭ルーの登場はデルフィニア戦記のリィを思い出しました)短くまとまった物語だった為、登場人物に感情移入する間も無く終わっちやいましたが、物語のクオリティはあいも変わらず高いものがありますぞ★
2017/10/14
コットン
エルサレムへ少年達の十字軍としての旅の始まりから聖職者なども交えた物語。五十年ほど前の児童劇団の脚本用に書かれた作品だそうで、子供たちの個性が際立って描き分けられている作品。
2024/10/01
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