おしょりん
おしょりん / 感想・レビュー
hiace9000
ご当地作読了です。『おしょりん』の書名とおり、道なき真白な道の先にある未知なる夢を追い、麻生津村の未来を拓いた増永兄弟と兄五左衛門の妻むめ、そして共に夢を信じた末吉をはじめとする職人たちー。ものづくりにかけた彼らの情熱と職人魂、真に相手を思う家族愛、人の心をも打ち動かす強い思いに、ただただ心を鷲掴みにされ一気読み、そして滂沱の涙…でした。いつもながら藤岡作品の涙は、心の深いところから湧いてきます。幼い頃、真冬の晴れた朝におしょりんの上をはしゃぎ闊歩した、あの高揚感。書名との見事な符合と調和には感服です。
2023/08/18
あすなろ
自分の視力を測ったことない。そして、下手すれば百人とすれ違っても眼鏡顔には出合えない。そんな明治30年代、福井で眼鏡造りを始める。商圏を獲得する。チョイと感動した作品。僕も眼鏡には当たり前にお世話になっているが、少し前にこんな歴史があり、福井から全国への経済の一本道を拓いたとは。素直かつポジティブな藤岡氏の文章と併せ、気持ち良く染み入ってくる良作だと思った。
2016/05/14
ゆみねこ
明治の末期、福井の農村で眼鏡作りに取り組んだ増永五左衛門。進取の気概を持ち販路を拡大した弟幸八。おしょりんとは福井の言葉で凍結した雪原、田畑の上をどこまでも歩くように新たな産業を根付かせた実話。支える妻むめの想い、とても素敵な1冊です。お薦め本です。
2016/03/10
ダイ@2019.11.2~一時休止
眼鏡=福井ってイメージがあるけど、その原点?。眼鏡の作り始めがよくわかってイイ感じでした。ところでこの作品は史実に基づくフィクション?、それともノンフィクション?。
2018/06/30
美登利
かなりの長編でしたが、夢中になって読みました。福井の実際にある眼鏡の会社の起業の物語です。それまで盛んだった織物工業が衰退してから、冬場雪に閉ざされてしまう福井の未来を案じ、地元にも大きな働く場所をと奮闘する年の離れた兄弟。夫婦のすれ違い、弟の思いなど少し前半部は読んでいてもどかしさを覚える恋愛小説でもあり、職人たち、商人としての弟の裁量、兄の経営者としての苦悩も盛り込み、とても内容の濃いお話になっています。地方の国の為に何かをしなければならないと考えた明治の男たち、そんな人が現代もいてくれたら良いのに。
2016/05/04
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