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月のぶどう

月のぶどう

月のぶどう

作家
寺地はるな
出版社
ポプラ社
発売日
2017-01-11
ISBN
9784591153345
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月のぶどう / 感想・レビュー

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のっち♬

母の急逝により実家のワイナリーを継いだ双子の姉弟の成長物語。劣等生扱いされた歩が挫折から早々に立ち直るの対し、優等生扱いされた光実が自分の欠点と向き合うのにかなり手を焼く様など、人間の不器用な部分に焦点を当てる点が著者らしいところ。「葡萄って痩せた土地の方がよう育つ」という美晴との会話には、素質が必ずしも結果を決める訳ではないというメッセージ性が読み取れる。彼女といたずら好きな祖父は重要な立役者と言えるだろう。「しっかりと目開けて、全体をよう見ろ」—活路や手を貸してくれる人が、気がつけばこんなにも近くに。

2021/06/28

いつでも母さん

姉に比べられるのは自分の本意では無いのに、悔しくて敵わなくて避けた弟。ワイナリーを営む母に憧れ母の様になりたくて生きて来たのに、その母は亡くなり弟の方がきらりと光るものを持っている事に気づいてしまった姉。そこにワイン造り職人・日野が厳しい。姉弟の友人と恋愛も絡む。ワインを造るのはなんて手間が掛かるのか。ほとんどが地味な仕事の連続なんだ。がそれはどんな仕事にもいえるだろう。その地味な仕事があって表に輝く物が事が出来るんだ。裏方に徹する父親が良い。病を得た祖父の存在も愛しく、素敵なタイトルに酔って読了した。

2017/02/01

mariya926

月のぶどうの意味が分かりました~。双子が母の死を乗り越え、ワイン造りに邁進する中で、少しずつ成長していきます。自分だけで抱え込んでしまい頼る事が苦手な実美、またいつも比べられ劣等感を持って、天職を探して歩が成長していきます。その様子が丁寧に文章にされていて、すごいなぁと感嘆しました。結婚は「こんなはずやなかったのに」の連続や。そらもう、嫌なこと面倒なこと己の耳と目を疑うようなことが次から次へと起こる。まったく思い通りに生きません。生きとったら誰でもそうです。とうとう寺地さん祭りが一息つきました~。

2022/10/20

ゆみねこ

有能で美しかった母が急死し、家業である天瀬ワイナリーを手伝うことになった26歳の歩。双子の姉である光実は幼いころからワイナリーを継ぎ、母のように生きたいと思ってきた。出来る方も出来ない方も抱える悩み、もがきながら成長してゆく姿がとても良かったです。おちゃめなおじいちゃんのいたずらと、結婚式の言葉にはウルウルしました。

2017/02/11

ネギっ子gen

良い題名。ワイナリーの大黒柱だった母親が急逝した。その母からワインのことをたくさん教えてもらうつもりだった双子の姉・光実は、母の亡骸の前で、吠えるように泣いた。だが、弟・歩は泣けなかった。<「葬式の時に涙が出らんかった。そういう自分が泣くのはなんかまちがってる気がして、泣けんかった」/泣いてよかったのだ、と後になって思った。母が死んでかなしい、という気持ちはあたりまえに歩の胸の内にあって、家業のこととは別の問題だった。それなのに、しばらくのあいだ混同していた。泣く権利はないのだ、と自分を責めもした>と。⇒

2020/10/02

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