愛を知らない
愛を知らない / 感想・レビュー
starbro
昨年読んだ『1ミリの後悔もない、はずがない』に続いて、一木 けい 、2作目です。本書は、愛着障害毒里親音楽青春譚の感涙秀作でした。ヤマオが大変魅力的です。今年のBEST20候補、何か賞を獲るかもしれません。本作で『愛着障害』という症状を初めて知りました。
2019/09/13
ムーミン
「怒りっていうのは、向けた相手ではなく向けやすい相手に向くんだって。だからどんな家庭でも、暴力はいちばん弱いものに集中するんだよ。そしてそれはエスカレートして、罪悪感をうしなって、快感を伴うようになるの。」
2019/09/29
いつでも母さん
ん~ん、絶句です。途中から心臓がバクバクして、お願いだから・・と思いながらページをめくる手が止まりませんでした。子供を育てるということは夢物語のように甘いばかりではないのだ。腹を痛めて産んだ子だとて辛いと思うことだってあった。私が育った家庭は愛なんて思うこともなく親は絶対で育った。時代と言ってはそれまでだけれど・・『愛着障害』何でも言葉にして分かったようなつもりになる。燈子の求める愛が切なすぎて苦しいよ。養母・芳子の「あいしてほしい」を私は認めない。前作に続いて一木さん、堪能しました。お薦めです。
2019/06/30
utinopoti27
全てを与え、全てを受け入れ、全てを許す。子には生まれながらにして、等しく親から「無上の愛」を注がれる権利があるという。ただ、ここで描かれているのは、与える見返りに従属を求める「歪な愛」で繋がれた親子関係だ。問題行動を繰り返す高校生の燈子が抱える闇の深さに思いをはせる時、養母の芳子が抱える苦悩もまたひりつく棘となって、読み手の不安をかき立てる。本書は高校生たちの友情と成長の物語だが、親子関係における「赦し」の本質に鋭く切り込む筆運びは並の作家とは思えない。一木けい、今後も追いたい作家がまた一人現れた。
2019/09/09
おしゃべりメガネ
R18文学賞受賞『1ミリの後悔〜』の一木さん作品で、こちらの作品を先に読んでしまいました。高校二年生四人の合唱にむける様々な思いやこれまでの半生を上手くミックスして綴る作風はとても読みやすかったです。四人それぞれ個性豊かでありながら、読んでいてもどこか影を感じる展開は作者さんならではなんでしょうね。話の中盤に差し掛かってからはまさかの展開で、話が一気に急転&加速していきます。こういう素晴らしい作品を高校の頃、リアルタイムでしっかり読めていたらなぁと。「ヤマオ」のキャラがとてもいい感じで、惹かれました。
2019/07/18
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