はつ恋 (ポプラ文庫 む 4-1)
はつ恋 (ポプラ文庫 む 4-1) / 感想・レビュー
さてさて
村山由佳さんが書かれた小説というと、どうしても感情の起伏の激しい物語が思い浮かびます。しかし、村山さんの圧巻の筆の描写力はそんな感情の起伏の激しさだけが魅力ではないと思います。そう、激しい感情の起伏の表現ではなく、穏やかに流れる季節の中の自然の描写や、ハナとトキヲの間に静かに流れる時間の描写に心の機微を見るこの作品。季節の流れをゆっくりと眺めながら、長い時間を経て再会した『初恋』という言葉が時を超えて大人な二人を繋いでいく物語。大人の恋の物語を読みたい、そんなあなたに是非おすすめしたい作品だと思いました。
2022/04/27
りゅう☆
2度の離婚歴のある小説家ハナ。一人で生きようと決めたのに再会した年下の幼馴染トキヲに心も身も奪われ恋人同士に。母と娘と暮らす2度の離婚歴あるトキヲとは各々の生活があり遠距離恋愛だ。「逢いたいよ」「俺もや」。移りゆく四季、猫と暮らす日々、花を愛で野菜を収穫する。そしてトキヲとの逢瀬に喜び愛し合う。アラフィフの恋。さんざん恋愛してきたのに、初恋のように純粋な幼い恋。感情をぶつけても関係が終わってしまうなんて思わない。静謐だからこそ今の村山さんの幸せが伝わってくる。死が二人を分かつまでこの思いが続きますように…
2023/06/26
おしゃべりメガネ
約6年ぶりの再読です。村山さんの綴るおっとり&のんびりとした恋愛モノはステキだなぁと感じます。幼なじみの「ハナ」と「トキヲ」が長い年月を経て、50近くになったトキに改めて、二人でぼちぼちと過ごしていくお話です。なんてことない日常が淡々と綴られ、特に大きな出来事も起きませんが、そういう雰囲気が本作の最大の魅力かなと。お互いに結婚に2度失敗しているからこその二人の距離感が絶妙です。年を重ねるごとに正直になりずらかったかり、ある意味変に我慢したりするなど自分の思ってるコトとはうまくいかず、悩むコトがありますね。
2024/10/11
ばう
★★★ 千葉の南房総に建つ古い一戸建に恋人と住む作家のハナ。2人の物語が四季の移ろいと共に静かに語られていく。全編を通してとても静かな優しい空気が流れていて季節の花々、服、道具、どれをとっても心落ち着く雰囲気が漂っている。2人が子供の頃住んでいた場所で思い出を語る最後の話が好き。はつ恋を実らせたトキヲと今心から寄り添う二人は結ばれるべくして結ばれたんだね。良かった。
2023/09/27
ほのぼの
作家のハナと大工のトキオ。アラフィフの2人は幼い頃に隣家で育った幼馴染み。お互いに2度の離婚を経て恋人になった。ハナは千葉、トキオは大阪の遠距離恋愛。なかなか会えない2人の関係が恋心をいっそう熱くする。もうアツアツのイチャイチャを見せつけられてしまった。もうすぐ50歳になろうとしている人たちだということをうっかり忘れそうになる。読み終えた時、『はつ恋』というタイトルが尚さら甘く感じた。
2024/08/11
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