大奥 10 (ジェッツコミックス)
大奥 10 (ジェッツコミックス) / 感想・レビュー
文庫フリーク@灯れ松明の火
激しく降り注ぐ雨の中、「あまりに理不尽ではないか!!」と独り天に叫ぶ黒木。豪雨に紛れた滂沱の涙の、なんと胸に痛いことか。独り静かに泣くだけでも良いのだ。敢えて豪雨の中、決して天から面を背けず、読者の気持ちを代弁して叫ぶ黒木の描き方は、よしながさんの真骨頂。平賀源内、青沼・・「ありがとう」の言葉が染みるほど心に響く。田沼親子を仁ある者として描いたゆえ、松平定信の「寛政の改革」は報いを受ける描かれ方となるのだろうな。十代将軍・家治からオットセイ将軍と呼ばれた家斉への繋ぎ方は絶妙。次巻で十一代・家斉。残るは→
2013/10/31
星落秋風五丈原
今までずっと逆転大奥の中で繰り広げられる男女の恋愛が描かれてきたのにこのパートはまるでドラマ『仁』みたいな医学漫画。これからまた恋愛漫画に戻るとのこと。田沼意次を歴史上の評価とは真逆に描くとこうなるか。今まで理不尽を憤った人は数々いたが、天に向かって叫んだのは黒木が初めてではないだろうか。
2013/10/28
エンブレムT
史実を事実として語り継いでいく『歴史』というものは、本当はどこまで信じられるのだろう。闇に葬られた真実を語る者はどこにもいないというのに。男女逆転の大奥という作品の、フィクション部分の歴史的暗部が詳細に描かれている巻でした。でもまさか、懸命に努力してきた者たちに、こんな!こんな理不尽な展開が待ち受けているだなんて・・・!!記録に残らぬ者達の努力を、その思いを、つぶさに見てきた黒木が天に向かって慟哭する様に、胸が詰まりました。静かに綴られたラスト3ページには息を呑みました。・・・なんだこれ。凄すぎる・・・。
2013/12/23
川中
青沼、源内の人生を思うと胸が詰まって苦しい。人を病から救うため、全てを費やした二人の生き様、その救われない最期、悲しくて仕方ない。当初は男女逆転大奥の中で繰り広げられる愛憎模様に魅了されたが、根本である赤面疱瘡治癒に、本当の意味で命を懸ける人達の熱い思いに魅了され感動した。源内は幸せだっただろうか。青沼は幸せだっただろうか。互いの死を知らずに、でもどこかでちゃんと分かっている。それでもそんな事は関係無くて、皆で過ごした、皆で赤面疱瘡と闘ったあの日々がきっと幸せそのものだったに違いない。そう私は思いたい。
2013/10/29
れみ
この巻、10代家治の時代の最後まで。とうとう赤面疱瘡を接種によって防ぐ方法にたどり着いた大奥の人々。だけど家治と意次親子を廃そうとする人々の動きによって青沼や源内たちが大変なことに。なんだか辛すぎる結末。さてそして久々の男将軍11代家斉の時代へ。たしか史実では子どもをたくさん作った将軍だったみたいで、それはさすがに女性には無理な部分も多いものなあ。それにしてもここまでの家済の暗躍が怖かった(>_<)
2013/12/21
感想・レビューをもっと見る