グヤバノ・ホリデー
グヤバノ・ホリデー / 感想・レビュー
ホークス
2019年刊。著者の漫画世界は夢のようで、半ば不穏なのに半ば心地よい。『いんちき日記術』は日記を空想で書いていたら見知らぬ町に迷い込み、帰り道が分からなくなる話。一瞬こちらが焦ったけど、日記なので当然ちゃんと帰宅できる。不安のツボを突かれた感じ。表題作は、著者がフルーツを探して実際にフィリピンまで行く話。どこで幻想が混ざって来るかと身構え、やはり術中にはまってしまった。『水族館にて』の解題で、著者は図鑑が見せてくれる「世界の深さ」を賞賛する。私も図鑑好きだが、その快感に導かれて生きてきたような気もする。
2021/09/05
kei-zu
畑の芋づるをたどって地中を掘り進める。行く手に現れるのは、電柱の埋設部分、地下鉄のトンネル、関東ローム層…(「芋蔓ワンダーランド」)。 本書に収録されたどの物語も、疑問と探求の狭間にある困惑を描くようだ。その白眉は、書名にもある「グヤバノ」を求めるフィリピンへの旅路だろう。 著者の本にひかれてやまないのは、この世ならざる不思議な景色を、僕らの日々の困惑に提示するからなのかもしれない。
2021/03/30
ちゅんさん
不思議な世界観が癖になる。著者の日常のちょっと不思議なことやわからないことを調べたり想像を膨らませたりして描くスタイル、そういうところは好感が持てるしなかなか貴重な漫画家さんじゃないかな。
2019/04/21
ヨコツ
出版を重ねるごとにどんどん大衆受けしそうな(あくまで同作者の作品中の比較の話だけれど)ライトさになってきているにも関わらず、クオリティが落ちたとか世界観が変わったとかそんなことは全くなく、むしろ「読みやすくなっただけ」というのがpanpanyaさんの凄いところなのでは…。相変わらず面白いしコメディタッチのキャラなのに幻想味が漂うのも良い。どこか郷愁漂う芋蔓ワンダーランドが特に好き。
2019/11/14
阿部義彦
大好きなpanpanyaさんの単行本。今回は旅行記あり得意の不動産や街巡り、考現学の様なもの有りと、相変わらず不思議、大好き体験をさせてもらいました。つげ義春、吾妻ひでお等を援用して理解の手助けにする方が多い様ですが、私的には前作で気づいたのですが、路上観察学、トマソンの発見で有名で、老人力、新解さんのナゾ、等の著作のある、赤瀬川原平さんの世界と凄く近似性があるから惹かれたのではないのかなあ?と現代美術と源平さん好きの私は思いました。物の見方のねじ曲げと接続のアクロバてィックな手つきが壺ですね。
2024/01/02
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